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新書「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン著を読了

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新潮新書の「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン(Anders Hansen)著、久山葉子訳を読みました。

著者はスウェーデンの精神科医でありメンタルヘルスのインフルエンサーということです。
この本は、少し前にスウェーデンでベストセラーになったとのことで
それを日本語訳して新書として発行されたのが昨年11月となっています。
それだからなのか、まえがきの後に「コロナに寄せて――新しいまえがき」が書かれている
ちょっと変わった構成の本になっています。

その新しいまえがきには以下のように書かれています。              (以下引用)

 今あなたが手にしている本は人間の脳はデジタル社会に適応していないという内容だ。
昨今のコロナ危機で、スマホが外界とのライフラインになった今、読むべき本なのだろ
うか。
 そんな今だからこそ読むべきだ、と私は思う。   (長い長い中略)
 テクノロジーは様々な形で人間を助けてくれるし、もちろんこれからも存在し続ける
べきだ。だが一長一短だということを覚えておかなくてはいけない。そこて初めて、心
身ともに健康でいられるような製品を求めることができるのだ。金儲けのために人間の
特質を利用するのではなく、もっと人間に寄り添ってくれるような製品を。
 つまり私たちは人間の基本設定を理解し、デジタル社会から受ける影響を認識しなく
てはいけない。本書がそこに貢献ができるよう願っている。       (引用終わり)

まぁ、簡単に言ってしまえばこの本に書いてあることは以上のことです。
人と会っている時でも四六時中スマホを放せないようなスマホ依存症の方には耳の痛い話ですね。
幸いにしてボクはスマホを使うのはかなり限定してますが
ただパソコンの使用も含めればそれなりの時間となりますから当てはまる部分も多いでしょう。

 

この本が度肝を抜かれるのは、目次の後の見開きのページが次のようにそれこそ目が点になることです。
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なんじゃこりゃ! と思いますよね。
その次のページには次のように書かれています。 
                                  (以下引用)
 今あなたがめくったばかりのページには、点が1万個描かれていた。この点1個が、
20万年前に私たちの種が東アフリカに出現して以来の一世代を表している。(中略)
 スマホ、フェイスブック、インターネットがあって当たり前の世界しか経験していな
いのは? 
 ・(点1個分)                           (引用終わり) 

つまり、人類というかホモサピエンスの進化の過程でデジタル社会に適応してるわけがなく、
それによる様々な問題、依存、ストレス、恐怖、うつなどのメンタルヘルス、
集中力の欠如、学力低下、睡眠不足、運動不足に繋がってしまっていることを
人類の進化というところから解き明かそうと言う内容となっています。
もちろんそこには科学的根拠を伴っている部分もあるし著者の推論の部分もありますが
総じて納得しやすく分かりやすい説明になっていると感じさせられるものでした。

読み始める前は、もっと単純にスマホばかりに頼っていると自分の頭が考えることがなくなり
考えが浅はかになるとかそういう類の話かと思ってましたけど
もっともっと深刻な害が人間におよぼしているいるという恐ろしい内容でした。

 

内容にひとつひとつ踏み込むのはやめておきますが
代わりに各章の冒頭に引用された著名人の言葉が面白いのでそれら各々を載せておきましょう。
                                 (以下引用)
地球上に存在した時間の99%、動物にとってストレスとは恐怖の3分間のこと
だった。その3分が過ぎれば、自分が死んでいるか敵が死んでいるかだ。で、
我々人間はというと? それと同じストレスを30年ローンで組むのだ。
  ――ロバート・サポルスキー(スタンフォード大学神経内分泌学・進化生物学教授)

できるだけ長い時間その人の注目を引いておくにはどうすればいい? 人間の
心理の弱いところを突けばいいんだ。ちょっとばかりドーパミンを注射してあ
げるんだよ。
              ――ショーン・パーカー(フェイスブック社元CEO) 

人間はマルチタスクが苦手だ。
得意だと言う人は、自分を騙しているだけ!
          ――アール・ミラー(マサチューセッツ工科大学神経科学教授) 

ある意味、驚きだ。これほど異質な環境にいるのに、
人間が今以上の精神疾患にかかっていないなんて。
               ――リチャード・ドーキンス(進化生物学者、作家)

比較は喜びを奪う。
                  ――セオドア・ルーズベルト(米国元大統領)

うちでは、子供たちがデジタル機器を使う時間を制限している。
                 ――スティーブ・ジョブズ(アップル社創業者)

脳は身体を動かすためにできている。そこを理解しなければ、
多くの失敗を重ねることになるだろう。
           ――マイケル・ガザニガ(カルフォルニア大学神経科学教授)

シリコンチップがすべての形を変えるだろう。大事なこと以外のすべての形を。
         ――パーナード・レヴィン(1978年10月3日付「タイムズ」紙)
                                 (引用終わり)

ジョブズが自社の製品ですら子供に深刻な害があることを理解していて
自分の子供に厳格なデジタル機器の使用制限をしていたことには驚きましたが、
それはジョブズだけが特別であったわけではなくデジタル機器の開発者や
アプリ開発者などの多くがそのように考えて自分の子供には制限をしているらしいのです。
多くの医療従事者やその家族がガンになっても抗がん剤治療を敬遠するのと似たような話ですな。

ボクは結婚もせず子供はいなかったのでそのような心配をせずに済みましたけど
子供のスマホ中毒は世界的に大きな問題となるでしょうね。
それがデジタル機器のよるものかは明確に認識されるかどうか別としても。

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