文庫「事故物件めぐりをしてきました」を読了
彩図社の「大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました」菅野久美子著を読みました。
大島てると言う人は事故物件公示サイトを運営している人で
インターネットで“大島てる”で検索するとすぐにこちらのサイトがヒットするはずです。
任意の地域の事故物件が地図上で確認できるという面白いサイトですが、
もちろん事故物件がひとつ残らずすべて網羅されているわけではありません。
ボクはこのサイトと大島てる氏のことは日テレ系の深夜番組「それって!?実際どうなの課」に
出演していたのでそれで知って興味本位で自宅の周りなどの事故物件情報を覗き見したりしてました。
そんな程度なのでこの本も完全に興味本位で買って読んでみたわけです。
ちなみに、本書は2016年4月発行となっています。
本書は3章に分かれていて、第1章が著者・菅野久美子氏が実際に事故物件めぐりした内容で
そこには大島てる氏からの情報を元に事故物件を訪問しているのですが
大島氏自身は登場しません。
第2章は大島氏への取材を元にしたと思われる事故物件についての基礎知識となっていて
最終第3章はその他の事故物件関係者を取材した話をまとめたものとなっています。
なお、ここでいう事故物件とは法的瑕疵・物理的瑕疵・心理的瑕疵の3つの瑕疵のうちの
心理的瑕疵のうちの殺人や自殺といった人の死に関わる事件事故が起きた土地・建物のことです。
そして、事故物件めぐりについては一部まだ異臭が残っている物件などの話も出てきますが
死体が横たわっているわけでもなく、また幽霊や怨霊が出たり怪奇現象が起きるわけでもなく、
そういう恐怖体験やホラー要素は何も出てきません。
むしろ、事故物件に至る前住居人の生き様や人間模様が推測含めて展開されているだけです。
なのでさほど面白くもなんともなかったのですが
事故物件とは直接関係ない内容でへぇ~と思うことがありました。
それは、貸アパートでは生活保護の人に積極的に貸そうとしている、ということです。
地域によるのかもしれませんが、そこでは「賃料を代行して役所からもらえる制度」があるから
支払いが滞ることがないからなのだそうです。
ただ、不可解なのは築20年超の木造2階建てワンルームで家賃が6万円なのだそうです。
地区にもよるでしょうがそんなに高いんですかね。駅近だそうなのでそのくらいするのかな?
だとしたら、生活保護受給者が駅近の割高な物件に他人の税金で住む必然性があるのかなぁ。
むろん、生活保護受給者は働かないのに高い物件に住むなといいたいわけではないのですが
それでも税金でまかなっているわけですから公営住宅を充当するなど
自治体がもっと工夫して限られた税金の使い道をより有効に分配すべきだと思うんですよね。
第2章ではどの程度まで告知されるのか、賃料はどの程度安くなるのか、事故物件の見分け方など
あくまでも目安や相場というレベルですが紹介されています。
それによると民間のアパートやマンションでは殺人や自殺の場合には
1人目の入居者には告知するのが慣例になっているようです。
逆に言えば、自然死や孤独死の場合は告知されないことも多く
殺人や自殺でも2人目の入居者にも告知されないことが多いそうです。
悪質な場合は短期間だけ社員を該当物件に住まわせて次は告知なしで貸し出すなんてことも……
まぁ、個人的にはよほど凄惨な事件現場でなければあまり神経質には考えないですけどね。
いちおう、以前住んでたアパートは新築でしたし、今の一軒家は買う前に確認はしましたが。
第3章では実際に何年も事故物件に住んでいる人、ハウスクリーニングの人、特殊清掃業者の人、
警察OBで第一発見から遺体搬送までする人などが出てきていろいろな話をされていて、
異臭・死臭やら蛆・ハエ・ゴキブリなどなどかなり気色悪い描写も出てきます。
そんな中で事故物件専門の不動産屋で、仕入れた事故物件を自ら祈祷・除霊している話があります。
この人は本業が別にあって儲けなしでそれをやっているということでしたけど
どれだけ効果があるのか何の保障も保証もないものなので訝しいとしか思えませんでしたけどねぇ。
| 固定リンク
コメント