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MdN新書「コロナショック」山田順著を読了

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MdN新書の「コロナショック」山田順著を読みました。
MdN新書って聞き馴染みがないのですが、エムディエヌコーポレーションという
グラフィックデザインやWebデザインをやっている会社が
今年の4月から新書発行も手掛けるようになってその第二弾がこの本になるようです。

また、著者の山田順はジャーナリストということのようで
感染症などの専門家や医療関係ではないようなので
どちらかというと政治・経済・国際関係などについての話が主体となっています。
「コロナショック」という言葉も経済面だけに絞った意味で用いられているようです。

なお、本書は今年の6月11日発行ですが、著者が書き上げたのは5月となってますので
緊急事態宣言解除後のこと、特に昨今の第2波?、市中感染蔓延の状況や
GOTOトラブルなどについては当然ながらまったく触れられていません。
また、日本だけでなく海外諸国の最新の状況もまったく考慮されていません。
まっそれは仕方ありませんよね。

 

内容的には、帯に「見せかけだった虚飾のアベノミクス」と書かれているように
安部首相の政策・対策の無能さをこき下ろすことから始まっています。

はじめにには以下のような記述があります。                (以下引用)

 日本で、政府が「新型コロナウイルス感染症対策本部」を発足させたのは1月30日。初動
としては、わりと早かったと言える。
 しかし、2月中に10回以上行われた会議は、全閣僚出席の下に本部長の安倍晋三首相(6
5)が冒頭に挨拶すると、すぐにお開きになった。毎回、10分程度で終わり、終わるとすぐ
に首相は関係者との打ち合わせを兼ねた“グルメ会食”に向かった。
                                    (引用終わり)
いやーなんとも情けなくなる事実ですねぇ。
この件は本文中にも詳しく書かれています。例えば、
会議にたった8分間だけ出席。その後、3時間の会食
コロナ対策そっちのけで、ふぐ、中華、鉄板焼き……と高級料理を楽しんでいる。
なんて、それらの具体的な店名まで紹介されています。

そして、著者は日本(アジア)の感染死者数が何故か少ないことを踏まえつつも
日本の感染対策については次のように大失敗としています。          (以下引用)

 日本が新型コロナウイルスの封じ込めに失敗したのは明らかである。失敗と言うより「大失
敗」と言ってよく、日本のコロナ禍は「人災」だ。              (引用終わり)

確かに、首相思いつきの突然の一斉休校、なのに渡航制限の遅れ、国内移動制限の遅れ、
さらにアベノマスク、給付金のごたごたなどなど安倍政権はことごとく失策・失態つづきです。
そこには、オリンピックや習近平来日予定や春節インバウンド見込みなど様々な裏事情に左右され
有効な対策は何ひとつもされずに、ただ表向きのパフォーマンスに終始したのはその通りでしょう。
なんとも怒りを通りこして呆れてしまうとはこのことですねぇ。

 

ただ、安倍首相だけが無能なのではなく、著者は官僚の無能さをも指摘しています。
アベノマスクも(星野源)コラボ動画も官僚の提案だったとも言われています。
感染症対策を戦争に例えるのは個人的に嫌ですが、著者は以下の表現をしています。(以下引用)

 現在の日本のトップ官僚は、旧日本軍のトップ軍人と同じで、現場の言うことを聞かず、無
駄な会議を繰り返しては、誤った作戦を命じている。現実を見ようとせず、希望的観測を必ず
そうなるものと勘違いし、戦力の逐次投入を繰り返す。これでは現場がいくら優秀で必死に闘
いても、無駄死にするだけだ。
                                      (引用終わり)
ただ、以前は日本の官僚は優秀とも言われたのにどうしてこうなったのかについて
以下の著者の指摘が本当なら、結局は安部氏が自らそう仕組んだことになります。 (以下引用)

 2014年に内閣人事局が創設されて、官僚の人事権を官邸が握ると、官僚は官邸の顔色を
うかがうようになり、「忖度」が幅を利かすようになった。こうして霞ヶ関に志がある官僚は
いなくなり、ゴマスリ官僚が増えて、首相は “裸の王様” になった。現在、首相の周りにいる
のは、「オトマダチ官僚」ばかりで、国民のほうを見ていない。       
                                      (引用終わり)
とまぁ、安倍政権の無能さをいくら嘆いていても一向に好転しませんし
他にまともな政治家・政権があるわけでもないですから
本書の主題である経済がどうなるのかについての話の部分に移りましょう。

 

ただ、ここでも日本経済については、そもそもコロナ禍以前でも
見せかけだけのアベノミクスと消費税増税で日本経済は大きく落ち込んでいたので
アフターコロナでは日本は「焼け野原になる」と書かれていて、希望はありません。

年金崩壊がおき、円暴落、ハイパーインフレ、そして財政破綻の可能性があると書かれてます。
いやー、早期リタイアして老後は年金と貯金の切り崩しで生きて行こうという身には
それだけはなんとか回避してくれ~というところで切実な問題ですね。
というか、そうなったら国民のほとんど全員が生活に困窮することになるでしょうが。

それでも、財政破綻では預金封鎖→新円切替→資産課税(財産税)と進むが
著者はこれはむしろ国民にとってはいいことだと書いています。
うーん、早期リタイアの身にとってはそれは最悪のシナリオじゃないかなと脅えますが……

さすがにV字回復して好景気になるなんて能天気なシナリオはないでしょうけど
デフレが続くというシナリオを描く人もいるようなのでどうなるか分からないですけどね。

 

なお、著者はそのシナリオの説明の中で「五頭のクジラ」という言葉を使ってます。
経済について勉強不足のボクはまったく知らなかったことですが、         (以下引用)

 現実を言うと、日本の株式市場は完全な「管制相場」であって、市場はほとんど機能してい
ない。(中略)株価を大きく動かしているのが、公的資金である。公的資金は、“五頭のクジラ”と
呼ばれ、「日本銀行」「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)「共済」「ゆうちょ銀行」
「かんぽ生命保険」を指す。この“五頭のクジラ”がアベノミクスの7年間で、株を買い続け、
株価を維持し、市場を支配してきた。                      
                                      (引用終わり)
なるほど、だからアベノミクスが見せかけだけというわけですね。
そして、結局のところトヨタをはじめ多くの企業の株を持っているのはこの五頭のクジラであるので
日本のほとんどの企業は実質的に国有企業になってしまっているというわけです。
そして、アフターコロナではこの動きがさらに加速して社会主義国家とも言える状況になると。
だから破綻する時は総崩れになってしまうということでしょう。

 

最後にアフターコロナでのグローバル経済の予測について書かれています。
コロナ禍によってグローバル化が後退するか、それとも逆に促進されるか?
一時的に後退してもやはりグローバル化は進むと考えられています。

また、チャイナVSアメリカでは今はアメリカのダメージが大きいが
アメリカだけでなく欧州各国などが脱チャイナ・反チャイナの動きとなると見ています。
本当にそうなるのか不確定要素も多くて怪しいところではありますが
いずれにしてもチャイナ依存することもなくアメリカの属国化を強めることもなく
絶妙なバランス感覚で日本は外交・経済を進めてもらいたく
(次期?)政権に期待しましょうかね。期待薄ではありますが……

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