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新書「狙撃の科学」を読了

B200604_4 
サイエンス・アイ新書の「狙撃の科学 標的を正確に撃ち抜く技術に迫る」かのよしのり著を読みました。
前回読んだ「銃の科学」と同一出版、同一著者の同一シリーズとも言える本ですね。
ですから、同様に左閉じ・横書きでオールカラーとなっています。

「銃の科学」が2012年1月発行なのに対して
こちらの「狙撃の科学」は2013年2月発行ですから
ある意味では続編とも言えそうですが、
それでも銃そのものとそれを使った狙撃という切り口が違っています。

なお、帯にはゴルゴ13(デューク・東郷)のイラストが描かれていますが
当然ながら、本の中身には一切ゴルゴ13は登場してきません。
B200604_5 
帯を外すとご覧の通りです。
こちらの方が、元・自衛隊員が書いた“サイエンス”書って感じで印象が良いんですけどね(汗)

 

この本の冒頭、「はじめに」には次のようなことが書かれてます。(以下引用)

 国民が銃の使い方を心得ておくことは民主主義の基礎です。明治維新が「四民平等」と
いったのは、農民や町人の意識を武士のレベルに引き上げるということです。当時、もち
ろん武士は武器の使い方を知らなければなりませんでしたが、昔のように「武器の使い方
などは、特別な人たちだけが知っていればよく、農民や町人は知らなくていい」というの
では、江戸時代に逆戻りです。                   (引用終わり)

ちょっと、うーんと首を傾げてしまう理屈ですね。理屈というか屁理屈というか……
明治維新で農民や町人にまで帯刀を許したのでもなく廃刀令で武士の帯刀を禁止したのだし、
ましてや銃の所持・使用を国民に誰でも推奨してそれで民主主義を築いたわけでもないですから。
著者はアメリカの銃社会を肯定・擁護するようなことも書いてますから
そのあたりもちょっと違和感を覚えてしまうところではありますかね。

かといって、ボクもエアガン持ってるくらいですから銃の魅力や効用などを
すべて否定する立場ではないですけどね。
というか、それならこんな本を読もうとは思わないですから。

 

さて、本書は「狙撃」がテーマですから拳銃などではなくほとんどがライフルについてです。
機関銃や散弾銃も少し出てきますが、ほぼボルトアクションのライフルが主役です。
狙撃対象も動物である場合もありますがほとんどは敵兵士を想定して書かれてます。
その意味では実戦的な内容とも言えます。
が、日本での実生活ではほとんどの人にとって無煙なものとも言えます。
逆に要人暗殺やテロでの狙撃というような想定はされてないみたいですね。

必要な銃や弾の話から、射撃姿勢のあれこれ、またスコープについての話となり、
ついには自作実包のハンドローディングのやり方やカモフラの仕方など
かなりマニアックな話などにも及んでいます。
エアガン、ガスガンでのサバゲーに応用できるかというとそれもまた微妙ですかね。
あっボクはサバゲーやったことないですが……

 

その中からちょっと面白いなと思ったことを幾つか紹介しましょう。 (以下引用)

兵器設計の世界では昔から「兵士を戦線から脱落させるのに必要な弾丸や破片の運動エネ
ルギーは10kgf・mである」ともいわれています。(中略)これは殺すのに必要なエネル
ギーとか、即座に戦闘不能になるエネルギーということではなく「衛生兵に手当てしても
らわないとヤバい」と思うだけの傷を与えられるエネルギーということです。
                                (引用終わり)
先ずは敵を皆殺しするよりも戦闘不能にさせることを真っ先に考えるんですね。
そして、そこに“運動エネルギー”という観点を持ち出すのには驚きました。
生物には生命エネルギーがあると概念的に言われますが、
それが物理的な運動エネルギーと等価的に扱うことが可能と考えられるんですかね。
まぁ、人によってしぶとい人とそうでない人がいるでしょうけどね。

そしておそらくこのような考え方をベースにしているのだと思われますが、
著者の考えとして「銃の科学」でもこんなことが書いてありました。(以下引用)

1つの目安として、「その動物の体重に『キログラムフォース・メートル(kgf・m)』をつ
けた運動エネルギーが、その動物を倒すのに必要な標準的なエネルギーである」と考えて
います。                           (引用終わり)

こちらはハンティングでの話ですけど、
これが人間にも当てはまるとすると死ぬくらいの1割ちょっとのレベルでも
戦闘不能というか活動不能になるってことですかね。

 

それから、(以下引用)
 銃は筋肉の力で支えるのではありません。射撃姿勢を骨格でつくってしまい、そこに銃
を乗せるのです。女性選手の成績がいいのは、一般的に男性より筋力が弱いので、骨格で
支えることを早く習得するからではないかといわれています。   (引用終わり)

また、(以下引用)
 左腕は銃の真下にあり、骨盤に乗せて安定させます(ヒップ・レストという呼び名はこ
こからきています)。そのため、骨盤の位置が高く、よく張り出している女性には有利で
すが、男性には難しい姿勢です。                (引用終わり)

へぇーですね。ゴルゴ13の鍛え抜かれた筋骨隆々の肉体はこと狙撃に関しては
むしろ不利に働いているということなのですかね(笑)

 

それと、(以下引用)
 ちなみに射撃をしたときよく「硝煙のにおい」といいますが、実は無煙火薬が燃えても
硝煙のにおいはしません。射撃のときのにおいは雷管のトリシネートが燃えたにおいです。
                               (引用終わり)
ここで連想するのは、サスペンスドラマなどでピストル撃った犯人に硝煙反応が出るとかの話。
硝煙のにおいがしないってことは実は硝煙反応も出ないの?という疑問が生じるわけです。
調べてみると、いちおう微量に出るらしいですがクラッカーでも出るらしいし
丁寧に身体を洗って衣服も洗濯すれば出なくなるらしいです。
今は射撃残渣とか発射残渣といわれる僅かな重金属を検出することの方が一般的らしいです。

まっ、日本では一般人が拳銃を入手して犯行におよぶことはほぼありませんから
どうでもいいっちゃどうでもいい知識ですけどね(^^ゞ

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