新書「銃の科学」を読了
サイエンス・アイ新書の「銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密」かのよしのり著を読みました。
“サイエンス”となっているからなのか、左開き・横書きの本で
オールカラーとなっていて写真・イラスト・グラフなども豊富に載せられています。
著者は元・自衛隊員とのことで、物理学・工学的な内容も少し触れられていますが
さほどサイエンスに偏った内容ではなく小難しいところもなく分かりやすくなってます。
ボクは30数年前にアメリカで実銃の射撃をさせてもらったことがあり
またその頃はエアガンなどでも遊んでいたこともありますが、
それでもそれほど銃に詳しいわけではありませんのでなかなか勉強になる本となってました。
ですから、ガンマニア向けの本というより入門用の基礎知識が書いてある感じですかね。
ちなみに、エアガン(電動、ガス、エアコキ)はいまだに5,6丁は持ってますけど
20年以上もほったらかしで弄ってもないので、おそらくもう作動しないでしょうね。
それでは、この本を読んで、へぇーと思った部分を幾つか紹介しましょう。
1.(以下引用)
「銃」という表現は江戸時代半ばまでは使われていません。銃という言葉は、どう
も朝鮮からきたのではないかと思われます。銃という漢字は「金槌の柄をさしこむ
穴」を意味しています。つまり、鉄にあけられた穴です。(中略)中国では鉄砲の
ことは「槍」といい、機関銃は「機槍」、拳銃は「手槍」などといいます。
(引用終わり)
金槌の柄の穴=銃と言われるとなんだか間抜けな感じですね。
2.(以下引用)
黒色火薬の原料である硝石は、日本では採れません。(中略)いつのころからか、
糞尿に含まれるアンモニアと植物に含まれるカリウム、土の中のバクテリアを使って、
バイオテクノロジーで硝石をつくるようになりました。(中略)江戸時代、この硝石
づくりを村の産業としていたのが「合掌の里」として知られる岐阜県白川郷や富山県
五箇山でした。 (引用終わり)
そうだったんですね。初耳です、平和な里というイメージが覆りますねぇ。
まぁそれらの村で撃ち合いしてたわけではないのですけど。
3.(以下引用)
そういうわけで米国から発信される情報には米国独特の単位が使われているので、
これに慣れるしかありません(本当は米国が変えなければならないのですが、なに
しろ傲慢な超大国ですから)。 (引用終わり)
あはは、自動車でも米国はマイルだのインチだのポンドだのわけの分からない単位使っていて
どんだけ迷惑で面倒くさいんだよと、現役時代は常々思ってましたから共感を抱きますね。
ただ、この文にはそれだけでなく元・自衛隊員だからこその
米国(米国政府・米国軍)に対する諸々の感情が滲み出ているなぁともとれますな。
そして、ここで「グレイン(gr)=0.0648g もともとは麦ひと粒の重さです。」
という初めて耳にする単位があることを知りました。
実生活ではなんの役にも立たない知識ですが、、、
4.「発射薬の適切な燃焼速度とは? 同じ口径でも弾の重さが違えば火薬は違う」という章では
口径、銃身長、弾の重さ(サイエンスとしては質量と呼ぶべきか)などによって
火薬の量だけでなく火薬の燃焼速度を適切に設定してやらないといけなくて
つまりは火薬の中の成分の配合がそれぞれに調節されているのだそうです。
そもそも、銃の火薬って薬莢の中で小さく爆発して弾が飛ぶんだと思ってましたけど
実際には爆発するのではなく燃焼していくものだということも初めて理解しました。
銃なんて単純だと思ってたら大間違いでした。
5.(以下引用)
弾丸の主体となる鉛の芯は「コア(core)」、芯を包む皮を「ジャケット(jacket)」
と呼び、先端までジャケットで包んでいるものを「フル・メタル・ジャケット
(full metal jacket)」というます。軍用の普通弾です。 (引用終わり)
「フルメタル・ジャケット」という映画がありましたが
ジャケットって洋服の上着のことかなぁと勝手に思い込んでました(恥)
なお、ここでのジャケットはたいていは銅合金で作られているそうです。
6.(以下引用)
小銃と比べてあきれるほど単純なおもちゃのような構造で実弾を発射できるのがサ
ブマシンガンです。だからサブマシンガンは、安価に大量生産ができるのです。
(引用終わり)
そういうものだったのか、だからアメリカのスーパーでも安く売ってるのね。
7.(以下引用)
銃身が長ければ命中精度がよい、ということはありません。銃身が長いと照星・
照門の距離が長くとれるので「狙いの誤差」を検出しやすくなる、つまり狙いが正
確になるだけです。たんに銃身が長いだけだと、長い先端の部分で振動が大きかっ
たりすれば逆効果です。ライフル銃身の長さは、だいたい50cmくらいあれば十
分とされています。長いより太い銃身がいいのです。 (引用終わり)
これまた感覚的に銃身が長いほど良いと思ってましたよ、ボクは(恥)
他にもいろいろと面白いことが載ってましたけど
とりあえずこの辺りまでといたしましょう。
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コメント
航空機系も主にインチですけどね。エアバスとかはメートルなんだろうか?
投稿: ゆのじ | 2020-06-14 10:07
>ゆのじさん
ロシアなど旧東側はメートルじゃないかと思うんですけど、エアバスはどうなんでしょうかね。
色んな単位が混在されていると運用や整備などで問題が発生しがちですから。
実際、燃料量の入れ間違いで墜落が発生したこともあるようですし。
投稿: JET | 2020-06-14 12:20