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名大出版の「誇り高い技術者になろう」を読了

B200503_4 
名古屋大学出版会の「工学倫理ノススメ 誇り高い技術者になろう」
黒田光太郎、戸田山和久、伊勢田哲治編を読み終えました。
おそらく名古屋大学など大学の授業などでも使っているであろう左開き横書きの工学専門書です。
なので定価2800円とまぁまぁの高額本ですが、たしか中古で買いました。
ちなみに、2004年発行となっています。

工学専門書ですが数式はいっさい出てきません。なんせ“倫理”を扱っている本ですからね。
でも、ボクが学生(名古屋工業大学)だった当時はこんな授業はなかったかな。たぶん。
会社に入ってからも工学倫理としての社内教育はいっさいなかったですね。
法令順守、セクハラ、パワハラなどの一般的な企業コンプライアンスの教育は
かなり遅まきながら、かつ僅かながらありましたが……


この本の「おわりに」にてこの本の内容をまとめてくれているので、横着して引用します。(以下引用)

 本書では次のことを明らかにしてきました。
(1)技術者はプロフェッショナルである。そして、プロフェッショナルとして社会から教育機会と
仕事上の権限、そして尊敬を得るかわりに、社会に対して通常の仕事には要求されないような種類の
「余分な」責任を引き受ける。

(2)その責任の余分な部分をいやいや果たすのではなく、良い仕事をした自分に対する「誇り」の

感情を報酬とするのが誇り高いプロフェッショナルである。

(3)技術によるものづくりそのものの特質と、現代社会と技術との関係の特質のために、技術者が

負うべき「余分な」責任の対象は、直接の雇用主や顧客にとどまらずに、顔を見たこともないユーザー、
一般市民、途上国や異なる文化をもつ人々、さらにはまだ生まれていない世代の人々にまで広がって
いる。

(4)したがって、誇り高い技術者が自分の責任を全うするためには、技術を社会の中に位置づけて

考えることのできる「技術者兼社会学者」としての知識と能力を磨くことと、見えにくい人々への配
慮をきちんと行うことのできるような「倫理的想像力」を拡げることが必要である。

(5)技術者が倫理的考慮を働かせる場面は、何も特別なトラブルに巻き込まれたときとは限らない。

設計、職場でのチームワーク、社会への説明といった日常的業務の中にこそ、倫理的考慮を行う場面
がある。そのためには、倫理的原則を個別のケースに加工してうまく当てはめるためのノウハウも必
要になる。
         
            (以下(6),(7)は省略、引用終わり、改行位置変更)

 

まぁこれだけ読むと正論・理想論すぎて現実の企業では通用しないと思われる方もいるかもですが、
実際の本文ではそこまでの正義を振りかざしたような内容にはなってなくて
(5)にもあるように現実の企業の内部で日常的業務での取り組み方などに重点が置かれています。
もちろん、内部告発やらの話にも及んではいますがそれは最後の手段としての位置づけです。

それでも、この本に書かれているのは技術者というのは単に工学的専門知識を鍛えるだけでなく
社会学者としての能力も身に着けてチームワークを発揮し
専門家でない一般消費者・使用者やあるいは経営陣やその他の人々に対して
倫理的責任を負うべきという、なんとも大変な職種ということになりますねぇ。

その報酬が(2)に書いてある「誇り」の感情、つまり自己満足が報酬だというのだから寂しいですね。
欧米とかならいちおうそれなりの社会的な尊敬と経済的な報酬が受けられるんですけどねぇ(涙)

 

ボクが長年勤めていた会社なんか、表向きは技術優先・技術者優先の会社みたいなフリをしながら
技術者を特に尊敬するでも優遇するでもなく(むしろ営業職の方が出世が早くて優遇される)
その割になんでもかんでも責任だけは技術者になすり付けてくるような企業風土でしたからね。

ただ、結局のところ(一部の人であっても)技術者によって
倫理の最終砦を死守していたところもあったのかなとも思いますね。

もっとも、ボクはもう早期リタイアして技術者でもなんでもないですから
その本を読んでも直接的には何か生き方や職業観が変わるなんてことはないわけですが、
是非若い技術者の方々にはこのような本を読んでいただきたいなと思いますし
ボク自身が若い頃にこのようなものを学ぶ機会がなかったのは残念だったなと後悔してます。

けれど、ボクもまぁさほど誇り高いと言い切る自信はないけれども
それなりに自分の中に倫理的基準を持って技術者として仕事をしてこれたかなとは思ってます。
少なくとも後ろめたいことはしてこなかったという気持ちはありますしね。
そのために色々と揉めたことも多々ありましたけど……今となってはまぁイイ想い出かな(^^ゞ

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