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新書「我々は生命を創れるのか」を読了

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講談社ブルーバックスの「我々は生命を創れるのか合成生物学が生みだしつつあるもの
藤崎慎吾著を読み終えました。
著者は学者ではなく作家ですが科学雑誌ニュートンの編集室に在籍していたこともあり
科学的視点を持っている作家と言えそうです。

生命を創るなどというとフランケンシュタインや人造人間などSF世界の話や
遺伝子操作やらオカルトやらの何やら怪しい世界の話かとも思います。
確かにそのあたりのことにも少し触れられてもいるのですが
本書の主要なテーマは『生命の起源と未来』である。」と書かれているように
それほどトンデモな世界の話ではありません。

生命の起源というと地球上に生命が出現したのはいつ・どこからかという話になりますが、
それに先立ち、そもそも人間がいつ生命になったのか?という疑問からスタートしてます。
オギャアと生まれた時、母体から全部出た時、一部出た時、陣痛が始まった時、
妊娠22週の時(人口中絶できなくなった時)、受精卵となった時、、、と曖昧です。
そもそも、生命とはどんな定義? とそこまで遡った議論となっています。

そして、RNA生物からが生命ではないかという説などが紹介されています。
コロナウイルスに新型なんて名前をつけて大騒ぎになっている昨今ですが
そのウイルスのようなものが我ら人類も含めた生命の起源というなら真に皮肉なもんですね。
また、地球上の生命の起源としては最近よく言われている海底の熱水噴出域だけでなく
陸上の温泉地帯とか宇宙の小惑星とかさらには隕石衝突時に誕生などいろいろな説があり
それらの可能性など事細かに書かれています。

そう、著者は学者ではないので自らの説をとくというスタイルの本ではなく
いろいろな研究者・学者の説を噛み砕いて解説していて
何が分かっていて何が未解決でありどんな矛盾があるのかなど分かりやすく述べられてます。
逆に言えば、何が正解かはどこにも書いてありません。
そのくらい生命の起源はいまだに謎に満ちているということでしょう。

 

第三章からは「『生命の起源』をつくる」と題して合成生物学の話になっていきます。
合成生物学とは、平たく言えばその名の通り、生物そのもの、あるいは生物の部品や機能を、
 人工的につくりだそうとする学問だ。」ということだそうです。

帯に「キッチンでできる『人工細胞のレシピ』付き」なんて書かれているので
これまた驚いてしまうわけですが、
実際には細胞膜のようなものに包まれた細胞なようなものを創り出せるだけで
その中にDNAもRNAもないですし増殖したりするわけでないので安心です(笑)
余談ですが、この「人工細胞のレシピ」は最初クックパッドに掲載されてしまったとのことで
後に調理じゃないのを掲載するなと運営者側に削除されたそうですが、面白い逸話ですねぇ。

ただ、このように細胞を構成するひとつひとつのパーツや機能、
さらにその素材となる各アミノ酸がぞれぞれどのようにして出来てきたのかを探究していき
その中から幾つかの仮説や可能性を紹介しています。

 

最終章の第五章では「『第二の生命』をつくる」と題して全く新しい生命の可能性を論じています。
全く新しいというのは新種の見たこともない生命という意味ではなく
「あらゆる生物がタンパク質と核酸、脂質からなる細胞で構成され、ATPを主要なエネルギー
 通貨として代謝し、セントラル・ドグマによって自己を維持するとともに増殖している。」
ということから、そこから外れるような全く異なる材料で全く異なるシステムを持つ生命を
第二の生命として、それをつくるのは(存在するのは)可能なのか探っていきます。

この辺りになってくるとかなりSFチックな想像力を掻き立てられる面白味があります。
ただ、その前の第四章では「『生命の終わり』をつくる」と題して少し気味が悪い内容です。
それでも、そこに興味あることが書かれていました。
著者の言葉ではなく生命科学研究者の岩崎秀雄氏の言葉ですが、 (以下引用)

僕は、生命というのは人類に残された最後の「スーパーコンセプト」だと思います。
神という存在が揺るぎないものであった社会や時代には、やはり生命は、そこに連な
るものという考えだった。神こそがスーパーコンセプトであったわけです。しかし、
大雑把に言えば、一九世紀になって人類は「神を否定する」態度を手に入れた。そし
て、科学の時代と言われるようになったわけだけど、その科学も万能ではないことがわかり、
スーパーコンセプト、つまり「絶対的に頼りたいコンセプト」が、見当たらない時代になった
わけです。そんな中で「生命」は、人類の残された最後のスーパーコンセプトなのかもしれま
せん。僕が知るかぎり、表立って「生命の否定」をコンセプトに掲げる文化・文明は、まだ顕
在化してませんから。                      (引用終わり)

まさにその通りですね。“科学”には“経済”も重なっているとも考えられます。
ですから、新型コロナ騒動においても人類・人命がスーパーコンセプトなわけです。
多くの人命が失われているのに呑気に経済を回そうなんて言ってられないのです。
もっとも、新型コロナウイルスもRNAを持っている生命ということだと考えれば
ウイルスとの戦争に勝つぞ!ではなくて共存を模索していくということなんですかね。

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