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新書「日本人の給料はなぜこんなに安いのか」を読了

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SB新書の「日本人の給料はなぜこんなに安いのか 生活の中にある『コスト』と『リターン』の経済学
坂口孝則著を読み終えました。

ボクはもう早期リタイアしてしまって将来的にも(非常事態にならない限り)働く気はないので
給料が安いかどうかはもう興味がなくなってしまいました。
それでも、現役時代のリーマンショックの数年後くらいからは会社の業績も良くなり
ボーナス含めてそこそこのレベルの給料はもらえるようになったので
順調に早期リタイアが実現できたという面もあるのですが、
それでも製造業ですから他の業種と比較して給料水準はさほど高くないですし
さらに長年に渡った業績不振もあって自動車業界でも最低を争うぐらいの給料水準の低さでしたし、
一方でアメリカ人などと仕事上付き合うことも多かったのですが
どうして彼らがそんなに高給をもらっているのか納得できずに憤懣やるかたなかった思いもありました。

だから「日本人の給料はなぜこんなの安いのか」という疑問には未だに反応してしまうのです。
ただ、この本はそこにだけ深堀りした内容でくなく、小文字で書かれている
「生活の中にある『コスト』と『リターン』の経済学」として4つのテーマを元にして書かれてます。

その4つのテーマとは、                   (以下引用)

第1章 日本人の給料はなぜこんなに安いのか?
第2章 年金は払い損にならないのか?
第3章 消費増税! もう大物買いはソンなのか?
第4章 空家大国日本、やっぱり家は買ってはいけない!?   (引用終わり)

なかなか面白そうなというか早期リタイア者でも関係ありそうなテーマです。
ただし、これらのテーマは結局「老後2000万円問題」と同じで
個々の事情によってケースバイケースなので結論だけ教えてもらおうとしても意味がありません。
このように考えるべきですよというヒントが書いてあるだけですので
後は自分の頭でよく考える必要があります。

 

給料についてハッとさせられたのは、経済学者マルクスの考え方(労働価値説)です。
人間は自分という商品(労働力)を売り物にして資本家に買ってもらう取引をしているので、
私たちが人間として生活できる水準が相場で決まり、それが給料の額になる」というのです。
日本は生活コストが低く抑えられるから給料も低いってことです。
もちろんこれだけが理由でもなくそんな単純な話でもないですが。

それ以外にも、日本は製造業がベースとなっているからとか、流動性が低いとか、
人事評価の不徹底などさまざまな要因があると説明されています。
しかし、年功序列賃金についてはそれが原因ではないとはきっぱりと否定されていて
諸外国でも勤務年数に応じて給料が上がる傾向は同じであって
問題なのは流動性が低いこと(⇔終身雇用)であると書かれています。

結局、この問題については、著者は最後にこのように書いています。
日本はリスクとリターンが歪んでいるからです。失敗しても生活保護や再就職支援が手厚く、
日本では絶対に死なない=リスクが実は少ない国』です。
これには反論する人も出てくるでしょうけど、確かにそう言われるとそうですね。

 

年金については著者の立場はかなり明確で、ずばり年金は払い損にならないという立場です。
ただし、年金は保険ですし国民の義務ですから損得勘定すべきものでもないと前置きしてです。
内容的には付加年金や繰下げ受給などにも言及していますが
結論的には日本を信じるなら(リスクは極めて少ない)年金はきちんと払われるということです。

また、話の流れのなかで「老後2000万円問題」にも触れられていますが、
これも概ねボクが考えていることと似たような内容のものとなっていました。つまり、
老後困らないための当たり前の戦略は、リターンを追う前に、とにかく『生活にかかるコスト』
 を
下げることです。これに勝る戦略はありません。

 

大物買いについては個々のモノによって個人の事情によっても変わってくるものですが
簡単に言えば使用過程や出口(売る時)までも含めて
トータルコストで考えましょうということです。

賃貸か持ち家かは何かと論争になる問題ですが、これについても著者は、
その人の信条によって変わってくる」と結論は読者に任せていますが、
ボクもその通りだと思います。
どちらが良いと言い切る人こそ無責任・無知な人だと思いますから。

さらに、その論争の中に中古物件の購入という選択肢も提案しているのが素晴らしいですね。
ボク自身が中古住宅の購入をしたからというわけでもないですが
一戸建てにしろマンションにしろ中古物件も選択肢に入れると
いろいろと柔軟な可能性が見えてくることもあるんじゃないかなと思いますからね。

 

もう少し深堀してほしいというところもありましたが
総じて読みやすくて分かりやすい内容の本でした。

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