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新書「『日本書紀』に描かれた国譲りの真実」を読了

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宝島社新書の「『日本書紀』に描かれた国譲りの真実 成立1300年、『出雲』と『大和』
武光誠著を読みました。
この時にも紹介したように武光誠氏の本はいままでにも何冊か読んでいます。

古代日本については古事記について詳しく解説・研究している本の方が多い印象ですが
この本では日本書紀を題材としています。
巻末の「まとめ」では以下のように書かれています。   (以下引用)

 本書では、『古事記』とならぶ『日本書紀』という日本最古の歴史書の内容を紹介
し、そこに盛り込まれている日本特有の思想について考察してきた。
『古事記』は、一続きの物語の形をとるものである。それは、古くから語り継がれて
きた複数の神話や伝説の中から、文学作品として最も良いものを選んでつないでつく
られた作品だと評価できる。
 これに対して『日本書紀』は、朝廷の公式の歴史書としてまとめられた。それは、
『日本書紀』が書かれた奈良時代はじめの朝廷のあり方を歴史的に説明する書物だと
評価されていた。
 だから『日本書紀』の編者は、天皇が日本を治める理由も、中臣氏の子孫である大
中臣氏が神祇官で朝廷の祭祀を統轄するようになった起源も、すべて神話で説明する。
『日本書紀』の『神代紀上』と『神代紀下』に書かれた神々の営みは、遠い神々の世
界の出来事ではなく人間の歴史につらなるものだとされたのだ。
 本書では「幽」つまり出雲の神々の世界と、「顕」つまり大和の天皇と朝廷の世界
との関わりに注目しつつ『日本書紀』の神話の大きな流れをみてきた。
                               (以下略、引用終わり)

ということなので、出雲と大和との神話の流れという大きな主題はありつつも
単に国譲りの箇所だけに焦点を当てているわけではなく
日本書紀の神代紀全体についての解説になっている本です。

そして、日本書紀は「一書に曰く」とされる異伝がたくさん並べられていて
断片的な神話を集めた神話集の形式になってしまっているので、
それらを全部見渡して解説しているとかなりの量になってしまいます。
それ故にあまり深くつっこんだ解説というよりもさらっと総論的になってしまってる感じです。

ある部分は元々の出雲にあった神話だろうとか
この部分は大和朝廷の権威づけのために後から創作されたものだろうとか
これは中臣氏(藤原氏)の捏造・こじつけだろうとか著者の推測なども書かれていますが、
それぞれについて詳しく根拠なども書かれてないのでどの程度の信頼性があるかも分かりません。

ただ、国譲り神話の部分に関してだけ言えば
出雲と大和が直接対立して戦争をしたとか何かの利権の争奪があったとかというよりも
古くから小国の首長の流れをひく地方豪族が行なう国魂の神の祭祀を、
 大王(天皇)の管理のもとにおくことを正当化するものであった。
と書かれています。

つまり、大和朝廷もかつては出雲文化圏の一部であったのだが
天皇の権威づけと祭祀を司る中臣氏の権威づけのために
国譲り神話を中臣氏が創作した、ということのようです。

 

面白いなと思ったのは戦前まで使われた(戦後も使われてる?)「皇紀」(神武紀元)は
もちろん神武天皇の即位である紀元前660年が起点となっているのですが、
これは大陸の陰陽五行説によって十干十二支の「辛酉」になる年として捏造されたものとのこと。

キリストの生誕日に由来する西暦をキリスト教信者でもない多くの日本人が使う理由もないですが
かといって実はチャイナ思想を元にした捏造からの皇紀を使うのも滑稽な話ってわけですね(笑)

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コメント

これってちょい興味深いです。
探して読んでみたいですね。

投稿: おおたけ | 2020-01-30 18:20

>おおたけさん

新説という感じではなく入門書的な感覚で読むのが良いかな。
昨年末発行の新書ですから書店ですぐ見つかると思いますよ。

投稿: JET | 2020-01-30 18:28

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