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新書だけど古書の「自動車の社会的費用」を読了

B191203 
岩波新書の「自動車の社会的費用」宇沢弘文著を読みました。
1974年に第1刷発行の本ですから内容的にはかなり古いので古書と書きました。
もちろん、古本として安く買ったものですが
古書も古本も言葉として使い分けはしないのが普通なのですかね(汗)

1970年代と言えば日本での交通事故死亡者も光化学スモッグ発生もピークとなり
アメリカでのマスキー法制定など世界的に自動車が嫌われた時代ですね。
嫌われたといってもますます多くの人に買われて使われたし
その後のスーパーカーブームもありましたけど。

そんな時代に書かれたこんなタイトルの本ですから明らかに自動車敵視の立場となっています。
いちおう、著者も自動車の便利さを理解しつつも、そして自動車廃絶を訴えるものではないとしつつも、
まえがきで「歩行者がたえず自動車に押しのけられながら、注意して歩かなければならない、という
 のはまさに異常な現象であって、この点にかんして、日本ほど歩行者の権利が侵害されている国は、
 文明国といわれる国々にまず見当たらないといってよいのである。
と書いていますから、まぁ明らかに自動車悪玉論的な論調ではあります。

しかし、これについては先日車に撥ねられたボクとしてもいたく同意するところです。
日本は文明国としては異常であったのにそれが50年近く経った今でも全く改善されてないのです。

ただし、この本の趣旨としてはあくまでも自動車悪玉論を展開するものではありません。
本書は、自動車の社会的費用という問題について、主として経済学的な側面からの分析を試みるもの
 であるが、……自動車の社会的費用という問題を通じて、現代経済学の理論的前提にどのような問題
 が存在し、どのような修正が必要とされているのか、ということを考えてよこうとするものである。
となっています。

それでも、前半は自動車の普及にともなう道路建設の実態や交通事故の実態と環境汚染について
さらには歩道橋の理不尽さや子供の遊び場消失の問題など
徹底的に自動車の問題点があげつらえられていきます。
そして中盤になるとこんどは自動車とはあまり関係なく経済理論の話が続きます。

 

結論的には、交通事故による死傷や公害などの問題について
単純に経済損失としてお金で計算することは出来ないので、
道路構造(と自動車の排気ガス浄化)でそれに対して十分な対策を講じるしかないということです。
つまり、完全な歩車分離としてその間に十分な植樹による緩衝地帯が必要ということです。

実際にはそれをするには立ち退きなど含めて不可能としつつも、
仮にそうするなら東京都内だけで24兆円の投資が必要と試算しており
自動車1台当たり1200万円の負担額になるとしています。
そして、その1200万円という投資額に対する年々の利息分を毎年賦課するならば
自動車1台当たり200万円を税金などで支払うのが妥当という計算をしています。

もちろん、1970年代での話ですから現代とは状況がまったく違いますけどね。
なんせ物価上昇6%、名目利子率16.6%で計算されてますから
デフレ時代、ゼロ金利時代の今となっては計算自体が崩壊してしまいますが(汗)

 

まぁ、自動車の効率的な利用というのは自動車所有者以外でも物流などで恩恵に預かるわけなので
自動車所有者だけが負担するというわけではないでしょうし、
そもそも自動車所有そのものが事故や環境汚染につながるわけではなく
その使用に伴って発生するものですから走行距離などに応じて負担すべきと思いますが
感覚的には1万kmくらい走らせるなら数百万円単位の負担が妥当というのは
あながち大袈裟な額ではないかなという気もしますね。

実際にはそんな額の税金を徴収することは無理な話ですが
少なくとも歩車分離されてない道路では自動車の通行を制限することは必要ですね。
完全に通行禁止にせずとも一方通行やスピードバンプやらで抑えることはできますし
もうすこし技術が進めばそのような道路では20km/h以上出せないような自動車だって
実現することはできますから、そうして不便なようにしていけば良いのです。

この本が書かれた高度経済成長期の終わりからもう50年近く経とうとしている今ですから
もういい加減に自動車優先/歩行者・自転車犠牲の道路行政・交通行政は考え直すべきですね。

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