新書「働く。なぜ?」を読了
講談社現代新書の「働く。なぜ?」中澤二郎著を読み終えました。
前回紹介の本に続いて、もう働いていないし今後働く気もさらさらない人間が
こんな本を読んでも意味がないじゃないという気もしますが、
いちおう「読んでいただきたい方は、こういう方です。」と書いてあります。(以下引用)
●「働くことに」困っている方
●働くことに「前向き」になれない自分がいる方
●こうした若者や大人に寄り添っている方
●この国の働く仕組みや働く歴史にちょっぴり触れたい方
●そもそも「仕事の話」はどう進めたらいいか。そんな「話の作法」に悩んでおられる方
(引用終わり)
まぁ、ボクは4つめの「働く仕組みや歴史にちょっぴり触れたかった」ので読んでみました。
それ以外はまったく該当しませんけどね(笑)
著者の中澤二郎氏は群馬県前橋市出身だそうですが、まぁそれとは関係なく
今は大学教授ですが新日鉄などで30年以上に渡り人事関係の仕事をしてきた方だそうです。
そして、本書では先ず、「仕事の窓」という概念を提唱しています。それは、
「仕事には『二つの種類』と『二つの性格』があり、それを掛けあわせてできる四つの象限が
『窓』の形をしているのでそう呼ぶことにしました。」とのことです。
「二つの種類」とは「いつもと同じ仕事」と「いつもと違う仕事」であり、
「二つの性格」とは「しごと壁」と「しごと穴」だそうですがここは分かりづらい表現ですね。
“壁”というとどうしても「壁にぶつかる」イメージをもってしまいますが
この場合は衝立とか塀みたいな意味で外界と閉ざされていることを意味してます。
一方、“穴”も「穴に落ちる」イメージを持ってしまいがちですが
この場合は出入り口とか窓みたいな外界と通じているとか外界が見えることを意味します。
ただ、著者は最初に「仕事の窓」で“窓”という言葉を使っちゃったので“穴”にしたんでしょうけどね。
つまり、
Ⅲ象限 いつもと同じ仕事-しごと穴 |
Ⅳ象限 いつもと違う仕事-しごと穴 |
Ⅰ象限 いつもと同じ仕事-しごと壁 |
Ⅱ象限 いつもと違う仕事-しごと壁 |
こんな感じの「仕事の窓」という概念を想定するということです。
いつもと違う仕事は仕事の幅を広げ本人が成長するのに大切ですし
しごと穴を通じて第三者と通じることは仕事のやりがいにもなりますから
やはりⅣ象限に仕事の醍醐味があるとも考えられます。
しかし、実際にはⅠ象限の仕事がもっともボリュームがあり
そのような下積みとも言えるような仕事を一所懸命こなす中でしごと穴の視点を持って
Ⅲ象限に踏み込んでいくことが重要と著者は説いています。
Ⅰ象限の仕事もろくに出来ないくせに自己の成長だとかやりがいだとか持ち出して
すぐにⅡ象限の仕事を追ってもまともな結果を残すことは出来ないし、
しごと穴の視点がなく自分のことしか考えなければこれまた本物の仕事は出来ないということです。
なお、ここでの仕事とはホワイトカラーに限定して考えてますとのことです。
それに続いて、日本では就職ではなく就社であること
またその日本的雇用システムの三種の神器として終身雇用・年功序列・企業内組合があること
これらがどうしてそうなっているのかを解説しています。
著者はこれらの日本的雇用システムについては否定する立場ではないようですが
それでも時代に合わせて変革が迫られている部分にも触れています。
ただし、経営者や企業の人事担当者向けの本ではありませんから
そこにはあまり多くのページは割かれていませんでした。
個人的にはとても理解しやすく納得できるような内容でしたね。
特に、「仕事の窓」という概念はいままでボク自身もなんとなくもやもやと考えていたことが
非常にすっきりと整理されていてすとんと腑に落ちました。
出来れば在職中に、しかもなるべく若いうちに読みたかった内容ですね。
それでも、就社という考えには未だに反感を抱きますし
愛社精神とか言われるとヘド吐きそうな気分になりますけどね(笑)
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