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「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」ナイツ塙を読了

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集英社新書の「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」ナイツ塙宣之 聞き手中村計を読みました。

芸人の本が続きましたが、こちらは芸人が自分のテリトリーの漫才業界について語っている本です。
いちおう、Q&A形式となっていますが、質問は短くて設問にナイツ塙が長々と答えていたのを
文字起こししたような形式の本になっています。
ですから口語体となっていますが、塙自身が標準語で丁寧に話すタイプの人間ですし
当然編集もされてるでしょうからとても読みやすい文章になっていました。
これまた当然のことですが漫才での言い間違いボケをしまくった文章ではありませんしね(笑)

お笑い番組は好きなのでよく録画して観ています。
ですから、M-1グランプリやR-1ぐらんぷりやキングオブコントなどの
お笑い賞レースも必ずといっていいほど観てますが
お笑いに順位づけしたり勝ち負け決める必要はまったくないと思ってますので
ネタだけ観て点数付けや審査員コメントなどはほとんどスキップしています。

それでもそういう賞レース番組では妙にギラギラ・ピリピリした雰囲気があって
素直に笑いを楽しめないところがあるから、普通のお笑い番組の方が好きですね。

この本では何度もM-1グランプリに出場するも結局グランプリ覇者になれなかったナイツ、
その後M-1グランプリの審査員として審査する側も経験したナイツ塙が、
なぜM-1グランプリに勝てなかったのかを客観的に「言い訳」するという内容です。
もっと言えば、負け惜しみです。」とも書いてあります。

まっぶっちゃけて言えば、そもそもM-1グランプリというのは吉本興業が
吉本興業の若手漫才師を発掘・売り出すためにやっているものであり、
関西の上方漫才らしい関西弁によるしゃべくり漫才が有利になっている。ということです。

わざと関東芸人に厳しく審査するような外力が働いているという陰謀説ではなく
そういう背景を持っているものなのでそういうものだというだけのことです。
例えが適切かどうかわかりませんが、ヨーロッパ発祥のF1やWRCなどのモータースポーツで
日本メーカーに理不尽とも思えるようなレギュレーションなどが課せられたりするのも
そういう伝統・背景を持っているものなのでそこに門外漢として乗り込むわけなので
そういうものだと考えるしかないということと似ているですかね(汗)

 

いくつかへぇ~と思ったところを引用してみたいと思います。

(以下引用)
 東京の寄席では、落語が中心で、漫才は「色物」として扱われます。トリは当然、落語
です。ところが、関西ではほとんどの場合、これが逆になります。落語が「色物」となり、
漫才師がトリを務める。
 漫才師の足元を見ると、その力関係がよくわかります。東京の寄席に出るとき、僕らは
靴下で舞台に立ちます。落語家に合わせて、靴を脱いでいるのです。ところが、関西の寄
席へ行くと逆になります。漫才師はみな靴を履いていて、落語家は雪駄履き。ステージ上
に髙座が設えてあって、落語家はそこに上がる前に雪駄を脱ぎます。
                                 (引用終わり)

あぁそういわれればそうですね。
直接観に行ったわけではないですが、浅草東洋館などでも靴下履きですから。

 

(以下引用)
 ただ、不思議と関西では時事ネタをやる漫才師が出てきません。西川のりお・上方よし
お師匠やトミーズが、枕で少し触れる程度です。どんなに触れにくいことでも、うまく毒
処理して視聴者に召し上がっていただく。それも芸人の重要なミッションだと思うのです
が。関西の芸人は、案外、毒抜きが苦手なのかなとも思います。
                                 (引用終わり)

もうひとつ(以下引用)
 爆笑問題のネタを観れば明らかなように、もともと時事ネタと笑いは、ものすごく相性
がいいんです。チャップリンがそうだったように、笑いは庶民が権力者に対抗するために
身につけた最強の武器ですから。正義感を振りかざし正面からぶった切るのではなく、ピ
エロの衣装をまとって近づき、笑いというオブラートにくるんでチクリとやる。そこが腕
の見せ所なわけです。                       (引用終わり)

なるほどですねぇ。
前に読んだ「日本のミカタ」は関西芸人が苦手な時事ネタをそのまま正義感を振りかざしただけで
終わってしまっているから、笑えもしないいチクリとさえこなかったわけですな。
納得しちゃいました(笑)

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