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勁草書房の「少子化のジェンダー分析」を読了

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勁草(けいそう)書房の「双書 ジェンダー分析4 少子化のジェンダー分析」
目黒依子/西岡八郎編を読み終えました。

上製本(ハードカバー)で定価3,500円+税という専門書といわれる部類の本です。
が、この時にタダで貰ってきた本です。
故に2004年発行とそこそこ古い本となっています。
まぁでも日本の少子化はもっと前から始まっていますし
その流れは今も変わらないどころか加速しているようですから
内容的には古くなっていないしここに書かれていることの延長線上に今があるのだと言えるでしょうね。

この本は「双書」となっているので多くの著者がそれぞれのパートを書いたものの寄せ集めです。
といいますか、恥ずかしながらそういうものを「双書」または「叢書」と呼ぶことを
この歳になって初めて知りました。
そして、それぞれのパートは全体の流れに沿って著者が書いたものというより
それぞれ各々に研究・調査結果をまとめた論文のようなものになっていて、
それを編者が整理してはしがきとまとめを加えたというような形の本になってます。

本書はそのタイトルからも分かるように日本の少子化の問題について
ジェンダーという切り口で分析して将来に向けた提案・提言に繋げようというものです。
ジェンダーって男女の性別のことだと思ってましたけど、
生物学的な性差をセックスと言うのに対して社会的・文化的な性差のことをジェンダーというんですね。
もう少しピンと来るように言えば、ジェンダー意識とかジェンダー役割みたいなことですかね。

 

以下内容を一部引用(青字部分)しながら概要を書くと、

 日本の出生率低下の背景には、男性は稼ぎ手・養い手で女性は主婦という役割分担を基礎とした
ジェンダー構造が基本的には根強いにもかかわらず、他方で生活に反映される様々の変化が生じて
きたことが、日本人、特に女性の意識の変化と相互に関連しあって、出産意欲の減退を招いたもの
と予想される。

ことからスタートして、

 男性に対しては近代家族システムにおける男性役割である「稼ぎ手役割」に加えて同システムの
女性役割とされる家族役割も期待し、彼女たち本人は従来の女性役割とされる「主婦役割」につな
がる行動を回避したい、という意識構造が存在することが明らかとなった。
 これまでにみられた晩婚化は、積極的キャリア志向の結果というよりは、社会における、家庭に
おける、そして社会と家庭の間における不平等な役割分業システムの下での独身状態の「成り行き」
の延長であったとみることができる。つまり、既存の社会システムの下では、不満足な状況に入っ
ていくような結婚はできるだけ先延ばしにする、リターンよりもコストやリスクの大きい出産は控
える、ということである。

というような結論に至っています。

後半部分はなんだか分かりづらい文章になっている印象も受けましたが、
ぶっちゃけて言えば出産・育児で産休とると会社の出世にひびくからではなくて
今楽しく遊んでいる時間的・経済的な自由が失われるのが嫌だから
結婚を先延ばしして出産を控えるってことかな。
と書くとなんだか女性を非難しているようにも思われちゃうかもしれませんが、
そこには男性の家事負担・育児負担があまりにも低いという前提があるわけですし、
それにそこには未だに男性は稼ぎ手として長時間労働するのが当然という認識が
社会全体を通じてあるわけなんですけどね。

まぁボク自身結婚もしてなければ出産にも関与していないので
(日本では結婚してないのに出産に関与していると問題視されますが(汗))
少子化問題に対してはまったくもって大きな顔は出来ませんが……

そして、ボクの場合、結婚しなかったのは、というより結婚できなかったという方が正しいですが、
それでもはっきり意識していたわけではないのですがやはりどこかに
「今ある時間的・経済的な自由が失われるのが嫌だから」という気持ちはあったと思います。
だからこそ、経済的に自由でいられる目途が立った今、
早期リタイアして時間的な自由の最大化を図ったわけですしね(笑)

それでも、批判炎上を覚悟の上でひと言書くと、
日本では家事・育児・教育などの時間的・経済的なコストをかけすぎという気がするんですよね。
確かに出産費用、保育料、学費なども高額になっていて公的補助が必要ですから
コストをかけ過ぎというよりコストがかかり過ぎと書くべきところなのですが、
もっとずぼら家事、ずぼら教育でもなんとかなるような意識で良いんじゃないかとね。
自ら意識高い系に陥っている人もいるし、他人をそのような意識にさせている社会でもあるかと。

もっとも、それが少子化対策の決定打になるわけでもなく
具体的な対策に繋がるわけでもないですしね。

 

なお、少子化そのものとは直接関係ないことなのですが、本書にでてきたことで驚いたことをひとつ。

民法第752条で「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しあわなければならない」と記されていることです。
樹木希林さんとか別居婚は民法違反だったということなのですね。
まっ違反してても罰則もないし遺産相続や遺族年金とかも夫婦として扱われるそうなので
双方同意ならなにも問題はないみたいですが。

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