新書「古生物学者、妖怪を掘る」を読了
NHK出版新書の「古生物学者、妖怪を掘る 鵺の正体、鬼の真実」荻野慎諧著を読みました。
この前、テレビのバラエティ番組を観ていたら、元・女子サッカー日本代表の○山桂里奈さんが
(男性のタイプを聞かれて)いきなり「河童を信じない人はだめ」と発言して
TVの向こう側もこっち側も唖然としてしまったということがありました。
そりゃぁ確かに河童(のような未確認生物)がこの世の中に(過去も含めて)
絶対に存在しないと言い切ることはできないかと思いますが、
逆に彼女は100%河童は存在すると信じているようですし
何の根拠で存在すると言い切れるるか(それについては語られません)、
さらに信じない人を一刀両断に斬れるのか不思議でなりませんでした。
というような議論もできないような思考回路の人なのでしょうね。
さすが、世界の頂点で戦ってきた人の頭の中は凡人には理解できませんな(笑)
著者は化石・地質などから科学的手法により古生物を研究している学者ですが、
この本では日本の古い文献などに描かれている妖怪(正体不明であった生き物)などについて
科学的に考察してみましょうという内容になっています。
ただ、科学的にといっても当時の文献の記述はそのまま正しいと仮定しているという
出発点は100%科学的とは言えませんし、当時の化石など残っているわけでもないので
DNA鑑定とかそんな最新科学手法で検証しているわけでもありません。
ですから、これだっという結論に辿り着いているわけではなく
こんな説が考えられるというところでたいがいは終わっています。
それをすっきりしないと捉えるか、空想が広がって面白いとみるかは人それぞれでしょうね。
ボクはどっちかと言えば後者ですし、そこに至る著者の思考の過程が面白いなと思います。
そんな科学的と非科学的な部分の融合とも言えるこの本であり著者ですが、
科学万能主義(ここでは科学的に立証されてないことは全て認めないという意味か)に
対する批判めいたことにもちょっと脱線して書かれてます。
それによると、米ソ宇宙開発、大阪万博開催、アシモフからマジンガーZ、ヤマトに至るまでの
1960~70年代に幼少期~青年期を過ごした人は科学礼賛かもしれないが……
著者はその後の時代なのでうんぬんかんぬんとなっています。
まぁボクなんかもまさにその60~70年代に幼少期~青年期を過ごした世代ではありますし
自動車エンジニアという科学的・技術的なことに長年携わってきたわけですが、
かといって科学万能主義ではないですし、著者のスタンスには共感が持てるんですけどね。
さて、妖怪といってもゲゲゲの鬼太郎や妖怪人間ベムの世界とは違いますから
取り上げられているのは、鬼、鵺(ぬえ)、一つ目入道、河童などです。
それらについて全部書いちゃうとネタバレになっちゃいますから
○山桂里奈が信じている河童だけ紹介しましょう(笑)
著者によると「アカハライモリ」あたりが事の始まりのモデルで
そこから尾ひれ羽ひれがついていったのではないだろうかということです。
それから、目から鱗だと思ったことなんですが、鬼にはたいがい角が生えて描かれますが
自然界で角が生えている生物は昆虫も含めてほぼ全て植物食なんだそうです。
だから人や家畜を襲う鬼に角が生えているのはおかしいと。
いわれてみればそうですねぇ。
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