「欠陥●自動車業界 自動車ジャーナリズムの内輪話」高齋正著を読了
論創社の「欠陥●自動車業界 ――自動車ジャーナリズムの内輪話」高齋正著を読みました。
「『宇宙戦艦ヤマト』の真実」の著者・豊田有恒氏の幼馴染に高齋正氏がいたことを知って
そこから高齋正の本をまた読んでみたくなりネットで中古本を買ったのがこの本になります。
初版2000年7月の本ですからもう20年近くも前に発行された本ですし
内容的には1980年代にまで遡っていたりして、
だからこそ今だから暴露できるってな内容になっているような本ですね。
なにを暴露しているかと言えば、自動車業界、メーカーとジャーナリストですけどね。
最初は自動車のフロントガラスの合わせガラス/強化ガラスに関連した話、
続いて燃費スペシャルグレード設定についての話がでてきます。
現代のクルマは衝突時にも粉々にならない合わせガラスになってますが
大昔のクルマには安いが安全性に劣る粉々に割れる強化ガラスになってるものが多くて
そのような安全性を軽視しているメーカーの姿勢を糾弾しています。
個人的には安全性は死者ゼロを目指しつつもそこに向けては確率論で議論すべきと思ってますから
なにがなんでも安全性を最重視すべきという原理主義には賛成しかねますけど。
また、燃費スペシャルグレードとはほとんど売る気のないような
カタログ燃費だけよくしたグレードを設定して消費者を欺こうとしていることを糾弾しています。
これも別に燃費だけじゃなく価格訴求グレードとか新技術搭載グレードとかありますし
こういう商売は自動車業界に限らずどこにでもあるようなものなので
とりたてて目くじら立てるほどの話じゃないかなとも思いますけど。
ただ、まぁメーカー側にもいくばくかの良心のあるところと
なりふりかまわず(やっちゃえ)的なところがあるのは確かでしょうけど(汗)
上記2つについてはそれらメーカーを直接的に非難しているというよりは
自動車ジャーナリストという人たちがそれらの事実を知っていながら
メーカーにおもねって消費者に対しても何も知らせないようにしていることを非難しています。
確かに、日本にはまともなジャーナリズムが不在とも揶揄されますし
自動車ジャーナリストとなるともっともっと酷いのは真実ですからね(汗)
そして、その次の章ではそのジャーナリストのひとりが書いた自動車のメカ本を取り上げ、
あまりにも間違いだらけの内容なので呆れかえってしまったことが書かれてます。
そのジャーナリストとは昔はテレビでも山坂道を走っていたあの3本の人でした(笑)
次には自動車関連の翻訳本のあまりの酷さを嘆くような話になりますが、
そこから先はまたメーカー批判が続きます。
まぁ、直接的に批判してるのはほとんどが日産なんですけどね(笑)
12マイルサニーという恥ずかしい表現
2000年から21世紀になる日産自動車
日産のルマン挑戦
など、章のタイトルだけ書いておきましょう。あまり書くとネタバレになりますし。
また、直噴エンジンでは三菱も槍玉に挙げられてます。
リコール隠蔽や燃費偽装の前の時代ですからそれほど糾弾されてるわけではなく
単に直噴エンジンはベンツが世界初(ただし機械式)だったのに
さも三菱が世界初の直噴エンジンを開発したかのごとくあざとい宣伝をしたことに怒ってます。
まぁ、ただこれだけのことというより、その裏ではいろいろあったのでしょうけどね。
著者は自動車の技術・歴史・文化そしして自動車レースの歴史についても明るいので
この本では単にメーカーの悪口、ジャーナリストの陰口だけで終わらずに、
それらについて恥ずかしながら初めて知るようなことも多く書かれています。
それ故に偉大な先人たちを冒涜しているかのような行為を見過ごすことができないのでしょうね。
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