新書「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」を読了
集英社新書の「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」中川裕著を読みました。
「ゴーデンカムイ」というのは野田サトルのマンガで、
明治時代末期の北海道・樺太を舞台とした金塊をめぐるサバイバルバトルとされているものです。
ボクはマンガ(コミック)は子供のころからあまり読まなかったので
大人になってからもほとんど読まないのですが、
テレビ・アニメは好きなのでよく観ていましたし
早期リタイアしてからはますますアニメを観るようになっています。
「ゴールデンカムイ」もアニメされて第一期、第二期がすでにテレビ放映されてまして
かなり面白いのでいつも楽しみして(録画して)観ていましたし
その後も期待して待っている状態です。
その「ゴールデンカムイ」について知らない人にとってはネタバレにもなりそうなのがこの本ですし
ボクもここであれこれ書くとネタバレになってしまいそうですが、
何せボクはテレビアニメの第二期まで、つまり途中までしか観ていないので
最後までの展開を知りませんし、逆にボク自身がネタバレを恐れつつこの本を読みました。
けど、幸いその点は考慮されているようでしたけどね。
「ゴールデンカムイ」と本書との関係でいうと、明治時代末期の北海道が舞台であり
元陸軍兵の不死身の杉元とアイヌの少女アシㇼパが主人公となっていて
多くのアイヌ人が登場し、アイヌ語も出てきて、アイヌ文化・思想もみられます。
そして、この本の著者の中川裕(ひろし)氏はアイヌ語・アイヌ文化の研究者であり
その「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修を務めている方だそうです。
つまり、この本の目指しているのは「ゴールデンカムイ」を足掛かりにした
アイヌ文化の入門書であるということです。
ただし、「ゴールデンカムイ」においてアイヌはひとつの素材であり、
そこにはフィクションも多々含まれています。
だから本書のタイトルも『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』なのであって、
『「ゴールデンカムイ」で学ぶアイヌ文化』ではありません。
ということのようです。(青字部分は本書あとがきからの抜粋)
※物書きであり大学文学部教授の著者がこのような『』と「」の使い方をするのには驚きましたが……
フィクションがあるからというより、本書ではアイヌ文化について系統だって解説されてるわけでなく、
「ゴールデンカムイ」の中のトピックなどからアイヌ文化やアイヌ語について解説しているスタイルです。
ですから、この本を読んでもアイヌ文化の全容が把握できるわけではなく
「ゴールデンカムイ」を読む(観る)のにその背景がよくわかるようになるという感じです。
そういう意味で「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」というタイトルは妥当だと思いますね。
そうはいっても、アイヌ文化や思想について面白いなぁとかへぇーそうなんだと思う部分はたくさんあり、
アイヌ=縄文人ではないのですが、それでも文化・思想的には共通している部分もたぶんにありそうで、
その意味では前書の「深層日本論」ともつながってくる部分もあってたいへん面白く読めました。
| 固定リンク
コメント
「ゴールデンカムイ」は連載当初は読んでましたが
最近は物語が複雑になりすぎて読んでませんね。
投稿: おおたけ | 2019-07-08 19:12
>おおたけさん
テレビアニメでも回を追うごとに登場人物がどんどん増えて複雑になってきてますから
この先ついていけなくなってしまうかもしれないですねぇ。
もっとも閑な時間はあるので録画したのを何度も観返すってのも手ですけどね(笑)
投稿: JET | 2019-07-08 19:47