「なぜ日本の会社は生産性が低いのか?」を読了
さて、この本の内容ですけど日本の会社の生産性について
いろいろなデータや角度から分析されており
そこに書かれていることはどれもおおむねそうだよなぁと
ボクも納得できるようなことが多いのですが、
あまりにも多角的なためにかえって主張が分かりづらくなってしまい
結局は何が言いたいの?って感じてしまいました。
ただし、著者がもっとも主張しているところは
「個人の工夫で生産性を上げろといっても何もよくならない
生産性が低いのは会社の経営幹部、組織の問題」
ということなのかなと理解しました。
それとともに、安倍政権のいう「働き方改革」というのも
この個人の工夫で生産性を上げろという前提にたっている裁量労働制で
そこにあるのは中長期的な利益追求には向かない成果主義に基づいており
問題を「私たち(個人個人)」の「働き方改革」に錯覚させてしまっている
と批判しています。もっともですね。
他にもいくつか面白いなと感じたことをピックアップしてみましょう。
日本の会社の業種ごとの生産性をみると
高いのは製造業でもっとも低いのはサービス業です。
ただ、製造業でもドイツなどと比べるとまだまだ生産性は低いので
改善する要素は多くあるはずだと。
ボクが働いていた自動車メーカーは製造業であり
自動車製造は製造ロボットの導入などで生産性は高まりますが
間接部門(ホワイトカラー)の生産性が高いわけではありません。
日本の問題はそこ、つまりホワイトカラーの生産性の低さなんですよね。
「コピー用紙1枚、ボールペン1本の支出を惜しむよりも、無駄な仕事にエネルギーを
費やす人がいなくなるほうが、人件費が減ってはるかに収益にプラスである。」
「とりわけ研究開発費を削減するのは危険である。知識や技術の獲得を怠っていると、
陳腐化リスクが生じる。陳腐化によって決定的な競争力の低下を招く。
同様に、教育費もすぐに成果が表面化しないタイプの投資の代表例である。
社内教育を怠ると、その企業の知識ストックは徐々に失われていく。」
まさに、ボクが働いていた会社にかなり当てはまりますね。
ボクが働いていたほとんどの期間は赤字か赤字スレスレの経営状態がつづき
いつも緊縮財政の中で働かされていたこともありますが、
常に予算不足で予算折衝や予算確保にばかり時間を取られていた覚えがあります。
ボクは他の会社のことを詳しく知りませんから比較はできませんが
研究開発費(人員含めて)も教育もかなり少ないなと感じてましたし。
そういうスバルはここ数年は好調だった時もあって生産性というか
利益率は業界No.1にもなっていたではないかと言われそうですが、
それは円安のおかげという部分が大きかったですから
真の実力というわけではないでしょう。
そしてその好業績だった時にしっかりと研究開発と教育に
儲かったお金を回したのかというとこれも出来てませんでしたしね。
スバルはここにきて様々な不祥事・問題が表面化してしまってますから
それもこれも含めて健全で生産性も高い会社に生まれ変わってほしいです。
とボクがいう資格はないのかもしれませんが。。。
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コメント
まさに日本はその研究投資や設備投資をけちる大企業その物というか
30年も公共投資を削減し続けてきたわけだから
自分で自分を弱くしてってる唯一の国だ
投稿: deefe | 2019-02-07 19:47
>deefeさん
たしかにその通りですね。
日本の国として生産性が悪いことしてるから日本の会社の生産性が低くなるのか
日本の会社の生産性が低いから国としても生産性が悪くなるのか……
鶏と卵ではないですけどね。
投稿: JET | 2019-02-08 05:39