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「特攻隊員の命の声が聞こえる」を読了

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PHP文庫の「特攻隊員の命の声かせ聞こえる 戦争、人生、そしてわが祖国」
神坂(コウサカ)次郎 著を読みました。

1995年に刊行され2001年に文庫化されている本ですから
もうかなり前の本になりますが、
数年前にブックオフで見かけて買って積んだままになっていた本です。
なんとなく重い感じがしてなかなか読み出せなかったのですが
まぁこの季節に読むのもよいでしょうかね。

著者は大戦中に飛行兵として航空通信の任務につき
知覧での特攻隊員ともともにしてきた経験を持つ人です。
もちろんも知覧飛行場とは九州最南端の陸軍飛行場でして
ここから多くの特攻機が沖縄に向け飛び立ち帰ってこなかった地です。
ボクはこの時に知覧特攻平和会館を訪れています。

著者は小説を書くのが本業のようでその代表作みたいなのが
特攻を扱った「今日われ生きてあり」という本みたいです。

そして今回読んだこの本はその小説「今日われ生きてあり」とか
新聞や雑誌に掲載した特攻にまつわるエッセイなどを元に
PHP研究所出版にて編集して出来上がったもののようです。

ボクは「今日われ生きてあり」を読んでいませんが
どちらかというと「今日われ生きてあり」を
補完するような位置づけの本かも知れませんね。
ちょっと話が飛んだり、あるいは重複している感じを受けました。

 

著者は多くの特攻隊員たちを見てきた人ですから
特攻隊員を「これほど純粋な若者たちはいなった」といい
戦後に「特攻くずれ」と特攻兵が罵倒されたことに憤慨しています。

ただ、ボクはその時に戦渦に生きていたわけでもないですし
ゆえに平和ボケした人間といわれるかも知れませんが、
それでも特攻という行為そのものを美化するのは反対ですね。
むろん、特攻くずれと罵倒するつもりはありませんが。

こんなくだりがあります。(以下抜粋)

◇特攻のイメージが戦後日本を守った
 特攻作戦は、指揮官の無能、墜落を示した“統率の外道”で、戦術的
に見ても、全く作戦の体を成していないものでしたが、連合国側に与え
た衝撃は、大きかったといいます。
(中略)
 その印象が、戦後の日本を守ってくれたといっても過言ではないと思
います。戦後の日本の防衛力は、皆無といっていいほど貧弱でしたが、
外国から侵略されなかったのは、いざとなると日本人は、特攻といった
捨て身の作戦を取ってくるという恐怖感が、外国の軍人の中に戦後も息
づき、それがある意味で潜在的な抑止力となっていたのではないでしょ
うか。           (抜粋終了)

抜粋部分の後半はちょっと首をかしげるような根拠のないこじつけで
それこそ“過言”だと思います。
どうも著者はちょいちょい特攻の美化や戦争の正当性を
押し付けてくるように感じられてしまうんですね。
ですから、この本を読んだ後に「今日われ生きてあり」を
読もうという気にはなりませんでした。

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