朝日新書「自動運転『戦場』ルポ」を読了
朝日新書の「自動運転『戦場』ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来」
冷泉 彰彦 著を読み終えました。
著者はアメリカ在住ジャーナリストとのことですが
いわゆるクルマ好きな自称自動車ジャーナリストという低レベルではなく
いちおうきちんと取材してジャーナリズムしている人のようですね。
ボクは早期リタイアしてもう業界人ではなくなりましたので
自動運転技術を巡って業界が戦場となっていても
どうでもいいというお気楽な気分となってますし、
一方でそれほど自動運転に夢を抱いて期待しているわけでもないので
その面でもどうでもいいという気持ちであるんですが、
それでもついついこんな本を読んでみるということは
実は100%どうでもいいとは思ってないのかも知れませんねぇ。
まっ知的好奇心の対象として面白いのは事実ですけどね。
先ほど、自動運転に夢を抱いていないと書きましたが、
それでもボクも運転免許返納するかどうかのシニアになって
日常の移動にも困るようないわゆる買物弱者・買物困難者になるような
そんな状況になったときに完全自動運転車が実現していたらありがたいですし、
その前にでも酔っぱらっても完全自動運転車で自宅へ送ってくれるなら
それもまた嬉しいとは思います。
自動運転については、レベル0~レベル5の6段階が定義されていて、
レベル0:運転手がすべての運転操作をする
レベル1:前後方向(アクセル・ブレーキ)・左右方向(ハンドル)のいずれかの車両制御を行う
レベル2:前後・左右両方の車両制御を行う
レベル3:限定されたところではシステムがすべて運転するが、要請があれば人が運転する
レベル4:システムが限定条件下ではすべて運転する
レベル5:システムが無条件ですべての運転をする
となってます。
レベル2まではもうすでに実用化されてますね。
ここまではあくまでも「運転支援」であってすべての責任は運転者にあります。
テスラがオートパイロット、ニッサンがプロパイロット、自動運転技術などと言って
いかにもクルマが勝手に運転してくれるかの錯覚を起こさせるような導入してますが
これらもあくまでも運転支援技術であってすべての責任は運転者にあるわけです。
ここからレベル3になると例えば天候の良い昼間の高速道路の一本道だけは
クルマが勝手に運転してくれて運転者には責任がないということになるわけです。
各地で実証実験などをしているのはこのレベルになるわけで、
技術的にはもう届いているなんてことも言われますが
様々な法整備や社会的コンセンサスも含めて実用化となると
そう簡単な話ではないでしょうね。
ということがこの本に書かれています。ボクもそう思います。
上述の“完全自動運転車”とボクが呼んだのはレベル5の自動運転に当たります。
2020年代後半~2030年にはレベル5が実現なんて
夢のようなことをいう人や企業もありますが、
少なくとも常識的な価格帯の量産車でレベル5の自動運転が実用化されるのは
もっともっと時間が必要なんだと思いますよ。
ましてや年金生活の老人が買えるようになるのはもっと先でしょうから
おそらくボクには間に合わないでしょうなorz
もっとも、自動運転にはデトロイト組(旧来の自動車産業)vsシリコンバレー組
(グーグル、アップル、ウーバーなど)という構図があって、
シリコンバレー組などでは統一規格の自動運転車での
シェアリングを想定しているようです。
であれば年金生活の老人であっても必要な時だけ恩恵にあずかれそうです。
まっタクシーとかライドシェアと同じでもあるんですけどね。
そういうレベル5の想定であると、逆に規格外の交通手段は全除外されますね。
つまり、自動運転でない旧車はすべて排除されることになりますし
歩行者や自転車などもオートバイも自動運転車とは移動空間を分離されるでしょうね。
少なくとも歩行者や自転車は常になんらかの発信機を持っていないと
自動運転車の走行する道路に入ることが出来ないってことになりそうです。
共産主義国家や独裁国家ならこういうのもアリかも知れませんが
まぁ資本主義・民主主義の地域では難しいでしょうねぇ。
そもそもシリコンバレー組では非自動運転車を排除することによって
交通事故ゼロの実現もしくは激減をめざすという考えのようですが、
であればレベル5の自動運転の前にやるべきことは山ほどあると
思うんですけどね。
例えば、自動運転で必須と言われている高詳細道路マップなぞなくても
今の普通のナビレベルでも生活道路・区域などのゾーン30とかは指定できるので
その区域では強制的に30km/h以上出せないようにすることは可能です。
信号機や標識の認識も100%でなくとも画像認識技術でできるので
信号無視や一時停止標識無視も強制的にブレーキかけさせることは可能です。
高速道路の逆走とか歩道暴走だって多くを防止するシステムは可能です。
そこから手をつけていくべきですし、実際にそうなっていくのではないですかね。
ボクが歳をとって交通弱者側となるころには
そのような技術が一般的になっているといいなと願ってます。
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