中公新書「倭の五王」を読了
倭の五王というと記紀(古事記・日本書紀)に書かれている
歴代天皇の誰がそれぞれ該当しているのかとか、
それを元に古代日本史と大陸での動きをリンクさせる研究が多いのですが、
本書では記紀の記述は当てにならないことからそこから一端離れて、
大陸や半島の史書・銘文などから当時の東アジア情勢を
ひもといていこうという内容になっています。
最終的には讃・珍・済・興・武が記紀に書かれている誰なのかについてにも
議論は及んでいきますし、定説というかほぼ確定みたいに言われている
武=雄略天皇(大泊瀬幼武尊、獲加多支鹵大王)についても疑問を呈していて
そうすると武の父親である済、武の兄弟である興も定説とは異なってくるのですが、
ただ誰であるかということそのものは大した問題ではないという意見でもあるようです。
実際にこの本を読んでいると記紀の記載なんてどうでもよくて
この5世紀の時代に東アジアの大陸・半島・列島の各国、各政権が
それぞれどんな力関係でどんな思惑で戦い、外交をしていったのかについて
丁寧に整理されてしかも分かりやすく説明してあるので
ドラマや映画でも観ているかのように惹き込まれてしまい
とても面白く興味深い内容になっていました。
中学・高校の頃って、歴史はただ教科書に書いてある過去のことを覚えるだけで
くそつまらない授業だとしか思っていませんでしたけど、
実は未だに謎のことばかりでかつこんなに面白いものだったんだなぁと
いまさらながらにして思うようになりましたね。
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