SB新書「宇宙に命はあるのか」を読了
本書のテーマはタイトルそのものので
宇宙の地球以外に生命体が存在するのかどうかということです。
どこぞの誰かが宇宙人に遭ったとか囚われたとか
その類のトンデモの話は出てきませんから、
未だに地球外生命が存在する/したという証拠の発見は得られていませんし、
著者が存在するとかしないとかの深い議論を展開しているわけでもありません。
焦点が当てられているのは、
人類がそこに(地球外に)何がいるのか/何かいるのかという
根源的な知的好奇心に駆りたてられて
いかに宇宙を探してきたのかについて
宇宙探査や宇宙観測の歴史と技術について
それとともに人間の熱意と苦悩についての部分です。
しかも、有名な宇宙飛行士や研究者とかだけでなく
むしろ陰で活躍したような人にスポットを当てて秘話みたいなものも
多く含まれていてなかなか読んでいて面白かったです。
なお、副題の「人類が旅した一千億分の八」とはなんのことかというと、
人類は太陽系の8個の惑星(今は冥王星は準惑星)すべてに探査機を送り込んだが、
銀河系内だけでも惑星は一千億個はあると推測されているわけなので
人類はまだ一千億分の八だけ(さらにその一部表層だけ)を探しただけという意味です。
そんなほんのちょっとだけ探しただけで地球外生命体がいないなんて分からないよね、
ということを例えて言っているわけです。
本当はそこに時間の概念も加わってくるわけで
人類が地球外生命体を探し当てるにしても
地球外の知的生命体が人類にコンタクトしてくるにしても
宇宙誕生からの歴史に比べて人類の宇宙探査の歴史は
ほんの一瞬でしかないわけですから
これまたそんな簡単に見つかるわけないんですよね。
ですから、著者も人類がいかに継続的に存続していけるかに関心を向け、
とは言え惑星移住の実現はそう簡単ではないから
結局は地球をいかに滅ぼすことなく維持できるかというところにも話は及んでいます。
やはりそういうところは示唆に富んでいて考えさせられる内容になっていますね。
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