「F1ビジネス」田中 詔一著を読みました
その時期のホンダF1はBARと組んでやっていた時代ですが
実はボク、2004年にそのHRDの施設の中に潜入したことがあります。
当然ながら機密が厳しくて内部はおろか外部の写真もありませんので、
ホテルの近くの古いお城の写真でお茶を濁しちゃいますね(笑)
当時、イギリス・プロドライブ社からラリー車ではなく
量産車に向けた新しいAWD技術の売り込みがあり
その試乗という形でプロドライブ社を訪問したのですが、
ちょうどその頃はプロドライブ会長のデビッド・リチャーズ氏が
BARの代表も兼ねていたためにF1開発現場も垣間見させてくれたわけです。
ホンダのエンジン開発部分は通路しか見せてもらえませんでしたけど、
カーボン成型用のオートクレーブやらシャシー開発用加振機など
色々と見せてもらえました。
まぁプロドライブとしては技術の高さを誇示したかったのでしょうか
それとも単なるサービス精神だったのか分かりませんが。。。
本の内容に戻りますが、タイトルに“ビジネス”と入っているように
F1にまつわるお金の話と政治的な話に焦点があてられています。
著者はレース好きでも技術者でもなく営業畑を歩んできたようですから
そのような視点でみたF1の内側がどうなっているのかを説明してくれています。
「この業界は特殊で常識は通用しない」とアドバイスされたけど
そうでもなく通常のビジネス感覚ですんなり入れたという著者ですが、
モータースポーツ好きやメカニカル&テクノロジー好きな人間の
純朴な常識は通用しないけど
ドロドロした金や政治の世界では当たり前のことということなのでしょうかね。
まぁお気軽サンデーレースは別ですが
モータースポーツなんてそんなものだと思ってますから
その手の情報には敢えて目を逸らしてF1観戦とかしてましたね。
そうじゃないと腹が立ったりしらけたりしちゃいますから。
でももう10年以上前の話ですし今はF1のテレビ観戦すらしなくなったので
今から当時を思い出しながらあぁ裏でそんなことがあったのね、と
面白おかしく読むことができました。
本書はホンダへのエール本でもF1暴露本でもないと著者は断っていますが、
それでもメーカー連合でF1とは別のGP開催を模索していたことなどから
バーニー・エクレストン、マックス・モズレーやフェラーリ・チームなどへの
恨み節とも受けとれるような内容のことも書かれています。
ビジネスとしてもスポーツとしても腑に落ちないこともあるのでしょう。
けれども、ボクから見れば所詮は他人の庭で遊ばせてもらっているだけなんですから
公平性がないとか透明性かないというのは少々違和感を感じましたね。
メーカーのブランドイメージ高揚のためにF1に参戦するということは
F1というブランドの威を借りたいということなんだから、
それなのに狐が虎に注文つけるってのはナンセンスでしょ。
もちろん、観客やファン、スポンサーなどすべての関係者を含めて
将来のF1の在り方という視点から考えての提言などはあってしかるべきで、
そのような点から本書を読むのはありだなと思います。
でもねぇ、今のF1はもう全然違う方向に進んでしまいましたからねぇ。
ちょっぴり虚しいですね。
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