「知ってはいけない」矢部宏治著を読了
講談社現代新書「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」
矢部宏治著を読み終えました。
「知ってはいけない」と題されると知りたくなるのが性(さが)というものです。
はじめにの中で著者はこのタイトルをつけた理由として、
「こうした事実を知らないほうが、あと10年ほどは
心穏やかに暮らしていけるはずだと思ったからです。」
「もうかなりご高齢で、しかも自分の人生と日本の現状に
ほぼ満足しているという方は、この本を読まないほうがいいかもしれません。」
と書いてます。
ボクはもう早期リタイアして社会との係わりあいは希薄になりましたが、
それでもまだ読んだほうがいい≒知ってはいけなくない側にいるかもと思い
読んでみたというわけです(笑)
本書は第一章「日本の空は、すべて米軍に支配されている」から始まります。
いわゆる「横田空域」の問題で、そのくらいはなんとなく知ってましたが、、、
単に米軍基地周辺の空域が制限されているという程度の話ではないことを
知らされることになります。
要は、
・米軍関係者は日本の法律で裁かれない
・米軍は日本の国土全体を自由に使用できる
(他国の軍事攻撃の基地としても使用できる)
・有事の際は自衛隊は米軍の指揮下におかれる
ということが、米軍と日本の官僚のトップの密約で決まっているということです。
もちろん、そのことを著者の妄想・推測として書いているのではなく
様々な資料から事実として書かれています。
日本が米国の核の傘の元で米国に守られているから
「日本は対米従属」となっていると言われたりしますが、
実態は米国が日本を守ってくれているわけでもなんでもなく
米国軍が米国のために日本を従属させて私物化しているだけなんですね。
なんのためにかは朝鮮戦争が発端となっているわけですが
未だにソ連(ロシア)、チャイナなどの脅威というものも残っているわけです。
しかも、ここで日本を従属させているのは米国軍であって
けっして米国政府ではないし米国国民ではないことが重要なところです。
さらに、表の論理(国際法の論理)では米国軍が日本を従属させているのではなく
あくまでも国連軍ができまでの暫定として代わりに米軍が日本を従属させている
ということになっているというのです。
今の日本は「戦後レジーム」ではなく「朝鮮戦争レジーム」にあると。
ほほぉー、なかなか分かりやすいです。
ということになると、おのずと憲法9条にも話がおよび、
どうも著者は護憲派ではなくこのような「朝鮮戦争レジーム」に
終止符を打つべく改憲すべきという立場のように窺えましたが、
ボク自身も護憲派というわけでもないのですが、
個人的にはそんな簡単に終止符は打たれないだろうから
いっそ当て付けで憲法9条は矛盾を抱えたまま残すとの考えもありですね。
なんて考えながらこの本を読み終えて、あとがきの後に[追記]があり、
そこには安倍首相の憲法改正案での9条3項・加憲案を
一刀両断にバッサリと切り捨ててました。
さもありなんですね。
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コメント
「言ってはいけない 残酷すぎる真実」という本もあり,タイトルで惹かれて読んでしまいました.
遺伝子崇拝主義という感じです.まともに受けると努力したくなくなります.
投稿: shiba | 2018-01-22 09:54
>shibaさん
橘玲著の新潮新書ですね。ボクも読みました。
個人個人は必ずしも遺伝子だけでその能力が決まるわけではないでしょうが、
統計としてはそうなるというのはある程度受け入れざるを得ない現実でしょうね。
日本人100m9秒台が実現したとは言え、スポーツの世界では
やはり黒人選手が圧倒的に高い能力を持ってますしね。
翻って、この日本に対する米軍支配というのは遺伝子とは無関係ですから
なんとか少しでもまともな方向に進んでもらいたいです。
投稿: JET | 2018-01-22 10:12