「〈 ひらがな 〉の誕生」を読みました
ひらがなは空海が創作したとの俗説もありますが
著者によればそれは完全に否定されていて、
空海が書いたとされる多くの文書にはひらがなはなく
空海がなくなった835年以降早くて867年にならないと
ひらがなは出現していないということです。
そもそも、仮名(かな)は真名(まな)の反対語で真名は漢字のことです。
仮名とは漢字を仮に借りてきた文字という意味となります。
その仮名も今では平仮名と片仮名だけですが昔は色々とあって、
万葉仮名は漢字をそのまま当て字として使っていて
万葉集などで使われていたので今ではそう呼ばれていますが
当時は真仮名と呼んでいたそうです。
・万葉仮名=真仮名=男手
・平仮名(ひらがな)=女手
・片仮名(カタカナ)=豆仮名…漢文を読むための補助記号
・草仮名…万葉仮名と平仮名の中間の崩し文字、男手でも女手でもない
・葦手仮名…絵文字に相当するような文字。
※本書の帯の「○○」がひらがな!? の○○が葦手仮名ですね。
そう、ひらがなはもともと女性が書く文字だとされていたわけです。
全部書いてしまうとネタバレになってしまいますが
ひらがなの誕生は実は藤原基経(もとつね)・時平らの
藤原家一族vs菅原道真の争いが関係していたのです。
菅原道真は言わずと知れた天満宮の祭神で学問の神とされてますが
藤原家一族に謀られて大宰府に左遷させられて非業の死を遂げた人ですね。
学問に秀でた実力派の菅原道真に対して
政治的な策略で実権を掌握していく藤原家一族、
そんな中でひらがなが女手だけでなく公文書にも出現していくようになると。
ひらがなには実に壮大な日本の歴史が隠されていたことになります。
それ故に読んでいてどんどん惹き込まれていき、とても面白い本でした。
個人的には藤原一族にはあまり好いイメージを抱いていないので
なんだかひらがなの印象まで変わってしまいましたね。
あっ現代の藤原さんをはじめ佐藤さん、加藤さん、伊藤さんetc.を
敵にまわす気は全然ありませんよ(笑)
| 固定リンク
コメント