糖質制限の本当の目的はMPSの寛解
昨日の記事からの続きになりますが、
タイトルに書いたことが結論になってしまいます。
ちなみに「寛解」とは全治とまでいかなくとも症状が治まって穏やかなことの意です。
ここで、MPSとはMyofascial Pain Syndrome,
日本語で 筋筋膜性疼痛症のことです。
もうかれこれ15年以上もの長きに渡ってボクが患っている
実際に筋肉の損傷をも伴う両脚の疼痛の病気のことです。
筋肉細胞や筋膜の損傷→神経伝達→筋肉硬直→血流障害→筋肉損傷の
負のスバイラルで悪化していくと考えられています。
救急搬送されて入院したこともありましたが、
当初はどこの病院へ行ってもどんな検査をしても
原因不明で片付けられてしまっていました。
あれこれ自分で調べて3年前に「MPS研究会」にいきついて
その研究会の会長が開業している前橋市の木村ペインクリニックにて
やっと病名が確定したわけですが、
その辺りの詳細な経緯はこのカテゴリーを辿ってみてもらえれば幸いです。
病名が判明し、その治療法として確立されているのは
トリガーポイントブロック注射と言って、
指などで押すと痛みを感じる圧痛点=トリガーポイント
(筋肉を動かしていない時にもトリガーポイントが数箇所あるのが
MPS特有の症状と言われています)
に局所麻酔薬を注射するという方法です。
これは痛みの神経伝達を遮断して負のスパイラルを断ち切るという意味では
単に表層の痛みだけを取り除くような対処療法とは異なるものの、
症状が出たときに対処するという意味ではやはり根治治療とも違います。
副作用の心配も皆無ではないですし、毎回通院するのも面倒です。
やはり、症状が出ないような予防的なことや
体質改善などをしていかなくてはいけません。
そこで、ボクなりに勉強して考えた予防治療・体質改善の
ひとつの方法が糖質制限ということなのです。
では、どういう理屈で糖質制限が筋筋膜性疼痛症の予防になるのかについて
もう少し説明を加えさせていただきます。
長くなりますがご容赦願います。
まず、本題に入る前に昨日の記事の補足をしていきます。
赤血球とがん細胞だけはブドウ糖しかエネルギー源にできないと書きました。
裏返せば、その他の細胞はブドウ糖以外のエネルギー源も活用できるということです。
通常の細胞は2つのエネルギー生成回路を持っています。
ひとつは解糖系エンジンといわれる回路、
もうひとつはミトコンドリア系エンジン(クエン酸回路)といわれるものです。
解糖系は簡単に言うとブドウ糖をピルビン酸→乳酸に分解する際に
エネルギーを取り出すものであり、
その際に酸素を必要としないので嫌気系とも言われます。
それに対してミトコンドリア系は解糖系で生成されたピルビン酸の他
肝臓で脂肪さら生成されるケトン体(アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸、アセトン)を
細胞内のミトコンドリアに取り込み、
そこで酸素とクエン酸によりエネルギーを取り出すものです。
酸素を必要とするので好気系とも言われます。
ちなみに、中学校の理科でも習ったはずのミトコンドリアですが、
細胞内に平均数百~数千個ほどもある小器官であり、
独自のDNAを持ち、元は別の細菌であったものが
細胞内で共生するようになったと考えられています。
なので、人間に限らずほとんどの生物の細胞にミトコンドリアは存在するのですが、
赤血球とがん細胞だけにはミトコンドリアが存在しません。
なので、赤血球とがん細胞だけは
好気系のミトコンドリア系でのエネルギー生成が利用できず、
解糖系のみでしかエネルギー生成できないというわけです。
この解糖系とミトコンドア=クエン酸回路を比較すると
クエン酸回路の方が圧倒的にエネルギー生成効率が高く
また乳酸などの身体にとっての有害物の生成が少ないとのことです。
とここまできてやっと昨日の記事の補足が終わりました。
さて、通常のミトコンドリアのある細胞でも、
ブトウ糖が十分にある場合は解糖系が優先されますし、
酸素が不十分な場合やミトコンドリアの活性が弱い場合も
ミトコンドリア系エンジンがうまく回らずに解糖系優位になります。
短時間で激しい運動をすると酸素供給が追いつかずに
すぐに乳酸が溜まって筋肉疲労を起こすのもこういうことです。
筋筋膜性疼痛症も激しい運動をしなくても血流障害がおこっていて
酸素が不十分な状態で無理して筋肉を動かそうとした結果として
乳酸過多な状況になっていると考えられます。
酸素を十分供給するとともにミトコンドリアを賦活する必要があります。
卵が先が鶏が先かの議論にもなりますが、
解糖系よりもミトコンドリア系を優位にさせるべきでしょう。
であるならば、糖質制限をして余剰なブドウ糖を減らし解糖系エンジンを使わず、
逆にケトン体を増やすことによってミトコンドリアエンジンを主体に回すことで、
筋筋膜性疼痛症になりにくい体質になっていくのではないかと考えるわけです。
つまりこれがボクが(プチ)糖質制限をしている本当の目的とその考え方になります。
「50歳を過ぎたら炭水化物は食べない方が良い」とも言われているので
たとえ筋筋膜性疼痛症への効果が薄かったとしても
糖質制限した方が良いんでしょうけどね。
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コメント
なんだか難しくて途中で読むのを挫折しましたが強烈な気迫で病もぶっ飛びそうですね。
投稿: 白 | 2017-04-10 20:06
>白さん
だと嬉しいんですけどね。
投稿: JET | 2017-04-11 03:21