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サンバーの記事が衝撃的だったので赤帽も

昨日のサンバーの記事とは完璧な繋がりですが、
タイトルの「衝撃的」だったのはボクが衝撃を受けたわけでも
ボクが書いた昨日の記事が衝撃的な反響だったわけでもありません。

モーターファン・イラストレーテッド誌の「軽トラ考」の取材でライターさんにとって
我々(元)富士重工業エンジニアの話が衝撃的だったらしく、
どうやらそれで「軽トラ考」の番外編として
赤帽組合&赤帽専用車まで記事にすることになったというのです。

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それが2017年1月28日発行の
モーターファン・イラストレーテッドVol.123に掲載されています。

当然ながらそこにはボクも富士重工社員も登場していませんけど、
中身がとっても面白いので少しばかり紹介いたします。

この記事もちょっと古いのでネタバレにはならないでしょうから多めに引用します。
もし気になったらネットか古本屋で探して全文を読んでみてくださいね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(以下引用です)

スバル<赤帽>サンバー

前回(Vol.114)では、すでに現行生産車種ではない富士重工業製RRサンバーの
開発陣に取材した記事を掲載した。そのなかで語られていたのは、
先代までのサンバーは、赤帽という特殊な顧客と用途に鍛えられて、
その特異な性能を磨き上げていった、という事実であった。
コスト度外視とも受け取れる、特筆すべき自動車を形づくった環境とは一体何なのか。
本連載の最終回は、軽トラという日本独自技術の極限を知るひとたちを訪ねる。

TEXT:沢村慎太郎 CAPTION:三浦祥兒 PHOTO:平野陽/三浦祥兒

不定期連載『軽トラ技術考現学』の掉尾を飾ったのがスバル・サンバーだった。
現在サンバーはダイハツからOE供給されているハイゼットの名義替え版となって
いるが、それ以前の2012年春までは富士重工業が設計開発していた。
いかな盆暗でも明らかに他社の軽トラックと違う突出した自動車だとわかったその
富士重製サンバーの開発取材を、現行モデルではないという理由で行なわないので
あれば、本特集シリーズが画竜点睛を欠くこと火を見るより明らかだと判断したからだ。

そして富士重工製サンバーが突出した軽トラックである理由は、その取材によって
あっさり判明した。開発陣だったおふたりの技術者は言った。他の軽トラックを調べて
サンバーを設計したことは一度もないと。彼らが見据えていたのは、JAと赤帽という
大口顧客のことだった。とりわけ赤帽に販売する専用仕様のサンバーは他社の
軽トラックと使用条件が別次元だった。シリーズ中におけるその他社への取材で
わかったのだが、軽トラックは法定積載重量の何倍も積むことがあるかわりに、
普段は近所のアシ代わりに乗られることが大半で、年間の走行距離は1000km
にも届かずに、10年使ってオドメーターは1万kmの文字を見ることなく寿命を
迎えるという。ところが、小口運送業務である赤帽の使い方は別次元だ。その年間
走行距離と廃車までの通算走行距離は、軽く乗用車の倍以上にもなるという。
設計要件がそれほどまでに異なるのであれば、できあがる車輌が異種の機械に
なって当然である。

そこまでわかったところで取材者として次なる切望が湧きあがった。サンバーという
機械の核心が赤帽における運用であるならば、その赤帽の運用の実際はどんな
ものなのか。それを知らねばサンバーを真に理解したことにはならないのではないか。

(中略)

サンバーを選んだ松石の選択は結果として正解だった。創立年末までに加盟台数が
31台に増えていく中途に、彼は他社の軽トラックも片端から揃えて試験運用してみた。
だが、それらすべてにサンバーは勝る性能を見せたのだという。こうして76年に
組合本部が設立されて全国展開に乗り出すとき、サンバーは赤帽に正式採用される
ことになったのだった。

(中略)

こうしてサンバーは赤帽という従来の軽トラックのそれとは異次元の使用法に鍛え
られてく。
その異次元で、まず思い当るのが走行距離だ。既述したように軽トラックの平均の
それは10倍以上になる。wikipediaなぞには、赤帽仕様サンバーのエンジンは
20万kmまでオーバーホール不要の設計などと書かれているのだが、その数字
を聞いて鳥居さんは一笑に付した。
「我々としては20万kmはまったく当たり前の話ですね。2年目の車検で20万km、
4年で40万km。それが普通ですから」

つまり年間走行距離10万kmが赤帽サンバーの標準なのだ。そして、メンテナンス
次第ではあるが、40万kmが代替えの目安なのだという。

(中略)

前に乗っていたサンバーは43万km走りましたよ、と言い添えながら、こうも断言する。
「走りがヨレることはないです」操縦安定性はそのままで、素晴らしいと長谷川さんも
同意する。そして鳥居さんが物凄い例を想い出してくれた。
「青森の組合員さんが80万km乗ったと会報に載っていたことがありました。流石に
滅多にない例なので、スバルさんが表彰してくれたそうです」

念を押しておくが、のんびり通勤や街乗りに使っての話ではない。赤帽なのが。荷物
輸送に酷使して、しかも雪国で80万kmである。軽トラックという枠ではなく、タクシー
あたりを基準にしても異次元の世界だ。それが赤帽サンバーが生きる世界なのだ。

もちろん経年劣化がないわけではない。エンジンにしても、最期のころは燃費も馬力
もわずかながら落ちてくるという。絶対性能の何割かしか使われずに寿命を終えて
ゆく世の中の乗用車とは違って、赤帽サンバーは大概は重い荷物を積み、そういう
過負荷ゆえに全開走行を強いられるシークエンスが日常だから、絶対性能の低下は
業務遂行上の障壁としてあからさまに把握されるのだ。

(中略)

「1500万円の大型トラックを買って年間1億5000万円稼げるかと言ったら無理
でしょう。しかしサンバーは10台で1億円は可能です」
投資に対する見返りが高いわけである。それは趣味で手に入れるのでなく、仕事
をするために買う道具としては、最優先となる要項だ。
「だから私は昔から言っていたんです。サンバーは世界の名車だと」

(以下略)
(引用終了)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

いや~、前回ボクらが喋ったことと齟齬があったらどうしようかと
内心ビビッて読み進めましたが、大筋相違はなかったようで一安心です(笑)

赤帽の方々からしても今さら富士重工やサンバーを
悪く言う筋合いもないでしょうから
ある程度よいしょしてくれている分もあるとは言え、
それでも「世界の名車」と言ってくれるのは嬉しいですね。

 

それと、赤帽ともサンバーとも関係ないのですが、
このVol.123のモーターファン・イラストレーテッドの特集は
パワーとトルクです。

ボクが以前にこのブログで取り上げた内容
分かりやすく正確に書かれています。
つまり、トルクなんて関係ないよ、パワーだよってね。

B170419_2
もうひとつこの号には(初代)レオーネの記事も載ってますが、
FFのRXを4WDと書いてたりしてちょっとお粗末かな。

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コメント

やっぱ、赤と白のツートン車と言えば
赤帽サンバーですよね(笑)
って前にもどこかで言ったな…

その昔、旧赤帽北海道軽自動車運送協同組合が
創立20周年を迎える時に記念に冊子を作ったのが
赤帽サンバーとの出逢いでした…

その後転職した先に営業車としてあったのが、
サンバーバンでした(確か4代目?)

懐かしいな~

投稿: nasa | 2017-04-19 18:40

ご無沙汰です&お帰りなさい
赤帽といえば、清酒「赤帽」でしたっけ?
時々案内が回ってくるのにほとんど誰も買わないことをけしからんと、社内報かなにかに投稿してた人がいたなあ(笑

投稿: ゆのじ | 2017-04-19 21:14

Vol.114は当時JETさんに教えてもらって、ちょっと立ち読みだけのつもりがあまりの内容の良さに思わず買っちゃいました。
赤帽の記事も良さそうですね。ユーザー側の言葉は全文読んでみたいので、今度探してみます。

投稿: ぶらっと | 2017-04-20 01:32

>nasaさん

ツートンと言えば…その先はネタバレになるので暫しお待ちを(笑)

投稿: JET | 2017-04-20 05:28

>ゆのじさん

そういえばそんなパック酒の販売がありましたねぇ。
ボクは買ったことがないですが、同僚が買わされたのを
少し飲ませてもらったことがあります。
確かにこりゃぁ誰も買わないかなって味でしたね。

投稿: JET | 2017-04-20 05:31

>ぶらっとさん

ボクも続編で赤帽サンバーを取り上げるなんて知りませんでしたが、
mixiのサンバーコミュで話題としてあがっていたので知って
急いで書店に走りましたよ。

イラストレーテッド誌のバックナンバーは
比較的入手しやすいと思いますので、
是非読んでください。

投稿: JET | 2017-04-20 05:34

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