シトロエン
ネコ・パブリッシングの「ワールド・カー・ガイドDX 14 シトロエン 」の冒頭の
シトロエン社の紹介文にはこう書いてある.
===================
1919年に第1号車タイプAを世に送り出して以来、シトロエンはいつの時代も、世の中の常識にはとらわれず、あくまでも独自の自動車造りを進めてきた。それは多くの場合、独創的、個性的という言葉で論じられてきている。
しかしシトロエンは、他と違った自動車を作ろうとしているわけではない。自分たちの夢を素直に実現したための結果が、そうなっただけのことなのである。しかもその夢とは、限られた人達だけを対象としたものでも、コンピューターによってはじき出された冷徹なものでもない。ひとりでも多くの人に自動車の便利さを分け与えたい、あるいは、より快適な自動車を造りたいという、優しさと暖かさに溢れた夢なのである。
ヨーロッパの自動車で初めて流れ作業による生産を行ったタイプAも、前輪駆動方式を一般的なものとしたトラクション・アバンも、ブリキ小屋のような外観のミニマム・トランスポーター、2CVも、ガスとオイルのサスペンション、ハイドロニューマティックを採用したDS19も、全てはこの夢の具現化であるといえよう。近年登場したモデルでさえ、それは例外ではない。そんなシトロエンの人間本位のクルマ造りの姿勢を、本書に登場する数々のモデルを通じて理解していただければ幸いである。
===================
ボクはこの文に激しく賛同し,感動しました.
単に他人・他車と違ったものを造ろうというところから出発するのは嫌いだ.
かといって,二番煎じのモノまねはもっと嫌いだ.
テクノロジー自体を売りにすることは嫌いだ.
使う人の立場にたってないハイテクは嫌いだ.
(だから,ハイドロじゃなきゃシトロエンじゃないみたいな考えは全くシトロエン的じゃないと思う)
自由な発想で,誰にでも平等に,優しく暖かく博愛する.
自由・平等・博愛は青・白・赤つまりトリコロールである.
現代のシトロエンが未だに理想的な「人間本位のクルマ造りの姿勢」を保ち続けているかどうかは,
色々な意見があるだろうが,
それでも多くのブランドの中で未だに最もそれに近いと感じられるブランドであることは確かだと思う.
でもでも,プルプルはやっぱり変態だなぁ.
| 固定リンク
コメント
とても平和で成熟した理念なのですね。
シトロエンというと、工業・技術・性能というよりは文学的(?)な香りがするのは、そういった確かな理念があるからなのでしょうか。
長い間、その軸がブレずに継承されていくというのはすごいと思いますが、物真似や競争ではなく自ら発想していくというところに、もっと凄みを感じます。
どうしたらこういうブランドになれるんでしょうか。。。
投稿: よっしー | 2007-03-15 23:56
>よっしーさん
創始者の理想,経営者の理念,技術者の信念,全社員の想い,国柄,土地柄,メディアの評判,そしてなによりユーザーの期待.
そういった諸々が全て関連しあって出来上がってくるものなんでしょう.上手いサイクルが回るかどうかなんでしょうね.
まっ,商売という面ではシトロエン社も決して褒められたものではないですけど.
投稿: JET | 2007-03-16 06:12
今この記事読みました。
ほんとそうなんですよね。本人は使い手のことを至って大まじめに考えてる。
なにか問題があったとして、それにすごく斬新な答え方をしている。
人間にとって本当に必要なことを根本的に考えたらそうなった。
ただ、そこに人の想像を超えすぎて人が受け入れられないという
残念な結果もあったかもしれないです。今でもある?w
人は慣れる生き物だけど、最初に斬新さにさわるのは嫌な物なのよね。
売れる車と売れない車のことを最近考えてみたりしている。
三菱iが良い車だからって、売れない現実。
ヒュンダイがあんな車でも売れちゃう現実。
そしてトヨタみたいに
人が想像できる範囲のほんのちょっと先を具現化してみせるのが
一番イメージ良く売れるんですよね。
投稿: noby (yasupi) | 2007-03-20 03:55
>nobyさん
でもね,ボクの考えでは三菱愛はまず他社と差別化を図りたいというところからスタートしているから愛はない.
ヒュンダイは邪(ヨコシマ)な考えよりも真面目に韓国産の車を作ろうとしている思い・意気込みは伝わってくるし,決して悪い車じゃない.
技術力の差は別として,意識の部分ではヒュンダイの方が遥かにまともだと思いますよ.もちろん,スバルよりもね.
投稿: JET | 2007-03-20 22:28