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スバル

前日の日記からのつながりで,
ネコ・パブリッシングの「ワールド・カー・ガイドDX 20 スバル 」の
冒頭の紹介文にはこう書いてある.

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 1958年にデビューしたスバル360から最新のレガシィに至るまで、歴代のスバル車は独自のメカニズムを多数採用してきた。それは何も奇をてらったものではなく、スバルなりのベスト、自動車の理想を追いかけてのことだった。
 現在のラインナップを見ても、水平対向エンジンや4WDシステムを持つ看板車種のレガシィやインプレッサばかりでなく、軽商用車のサンバーにまで荷痛みを防ぐためにクラス唯一の四輪独立サスペンションを採用するなど、その姿勢は貫かれている。どのスバル車も、すすんでそのクルマを選ぶ理由があるのだ。もちろんユーザーもその点に気づいている。
 例えば、初代レガシィ・ツーリングワゴンが大ヒットし、ステーション・ワゴンがブームになった時期があった。もちろんライバル各社も次々に競合車種を投入したが、ユーザーにとっては逆にレガシィの魅力を浮き彫りにさせただけで、ほとんどの車種が数年で消滅してしまった。軽乗用車のR1やR2にしても、あえて室内スペースの追求は避けて、高いクオリティを追求している。そんなスバルの、富士重工の自らの理想に近づくために鍛え続ける姿勢は、前身である中島飛行機時代から変わっていない。
 大正時代に中島飛行機を創立した中島知久平は、「資源の少ない日本は航空機主義に転換すべし」という信念を持って航空機産業の育成に尽力した。その知久平はスバル360の発売時には他界していたが、現在のスバル車を見ても恐らく納得するだろう。
 富士重工は最近GMの手を離れトヨタ・グループの一員となった。あえてこのタイミングで、スバルの現在・過去・未来を知っておくのも良いだろう。『スバリスト』と呼ばれる生粋のスバル・ファンのみならず、スバルと富士重工に興味を持つ全ての方が本書を手にとっていただければ幸いである。

 

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 ボクが書くならこう書かざるを得ません.

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 1958年にデビューしたスバル360,スバル1000以来,歴代のスバル車は独自のメカニズムを多数採用してきた.それは何も奇をてらったものではなく,スバルなりのベスト,自動車の理想を追いかけてのことだった.
 現在のラインナップを見ても,水平対向エンジンや4WDシステムを持つ看板車種のレガシィやインプレッサばかりでなく,軽商用車のサンバーにまで荷痛みを防ぐためにクラス唯一の四輪独立サスペンションを採用するなど,その遺物(legacy)を垣間見ることはできる.ところが,それらは当時の理想から生まれた技術であり,それが現代にアジャストされ進化しているというより,理想とはかけ離れて差別化と技術の押し売りに邁進してしまっている.どのスバル車も,変り種,ハズシ以外に選ぶ理由がなくなりつつある.もちろんヲタクと呼ばれる盲目的ユーザーはそれを好むが,聡明なユーザーはその点に気づいている.
 例えば,初代レガシィ・ツーリングワゴンが大ヒットし,ステーション・ワゴンがブームになった時期があった.ライバル各社が次々に競合車種を投入する中,他社との差別化のために車本来・ワゴン本来の魅力を捨ててスポーツカーやラリーカー張りの見せかけだけの性能を追及し,結局は自らの陳腐化に拍車をかけてしまった.軽乗用車のR1やR2に至っては,他社とまともに勝負することを避け,あえて軽自動車としての利便性や実用性を蔑ろにして,外観のみのタダ変チクリンな差別化に走ってしまっている.そんなスバルの,富士重工の存在意義を問い直すには,まずスバル車の礎を築いた百瀬晋六氏の理念を今一度見つめ直すべきであろう.
 スバル360やスバル1000の開発責任者だった百瀬晋六氏は、「人間重視」と「実物主義」を持ってこれら黎明期のスバル車を世に送り出し,日本中に誰でも自家用車を持て,自由に何処へでも,愛する家族や仲間など誰とでもドライブできるという夢を現実のものとした.その百瀬晋六氏は既に他界してしまったが、現在のスバル車を見て恐らく嘆き哀しむだろう。
 富士重工は最近GMの手を離れトヨタ・グループの一員となり,GM時代の「プレミアム・ブランドを目指す」から「お客様第一」に転身した.あえてこのタイミングで,スバルの現在・過去・未来を知っておくのも良いだろう.『スバリスト』と呼ばれる生粋のスバル・ファンのみならず,スバルと富士重工に興味を持つ全ての方,とりわけ『スバヲタ』と呼ばれる狂信的スバル・ファンの方がこれを読んでいただければ幸いである.

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コメント

はじめまして。ずっとROMしてましたが思わず書いちゃいます。
世界にあまたある自動車製造ラインの中でたった4本、人民の幸福を思い描いた車でいっぱいにするのはそんなに難しいことなんですか?

投稿: 9854 | 2007-03-17 22:22

>9854さん

はじめまして.
面識のない人にどう答えたら良いのか悩みますね.
また,

>>自動車製造ラインの中でたった4本

すいません,4本の意味が理解できなくて…


で,ボクの考えですが,
世界中の全ての人を幸福にするクルマを作るのは難しいというより不可能でしょう.ごく一部の限られた人が満足する車を作るのはそれほど難しいことじゃないけど,それが同乗者も含めて他の多くの人に不快感をもたらす車であってはならないはず.あるいは,自爆事故があまりにも多い車を作るのは,たとえごく一部の人が満足していたとしても結局は多くの人を不幸にしている車でしょう.
やはり,難しいことは確かですよね.

むしろ難しいからこそ,それを実現しようとする理念を掲げてクルマ作りをすることに意義があるんだと思います.
もちろん,慈善事業ではなく企業である以上,車が売れて儲けがないと成立しないわけで,それでも色んな要求の中で迷ったときはその企業理念・開発理念に立ち返ることができれば少しでも多くの人々を幸せにする方向に行くのではないでしょうか?

それなのに,例えばニュルブルクリンクのタイムアタック(しかもチューニング車を市販車と偽って)のための車開発をしたり,「ポルシェみたいに危なっかしくて最後は簡単にスピンする車の方が面白くて良い」なんてことを平気で言って車開発したりすること,しかもそれが社内で自分の立場をなんとか確保したいという醜い権力闘争や確執の中から生まれたものだとしたら,多くの人々を幸せにできるはずはないですよね.

投稿: JET | 2007-03-18 07:17

簡単な書き込みだったのに長文での返信ありがとうございます。

たった4本というのは、矢島に2本と本工場とSIAのつもりでした。

投稿: 9854 | 2007-03-19 23:09

>9854さん

4本ってそういうことね.

人間は猿より毛が3本多い.「け」とは「はたらけ」「しつけ」「なさけ」だそうです.
4本ってことはそれプラス1本.さしづめ「いろけ」か?

なんて考えちゃいました.

投稿: JET | 2007-03-19 23:44

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