ヨー慣性モーメント計測 実践編
計測装置も完成し,その台の慣性モーメントも既知になり,
計測方法の有効性も検証できたので,車両の慣性モーメントを測ってみます.
測り方は準備編に書いたとおりですが,
実際に計測している風景をビデオに撮ってみました.
結果発表の前にもう一つウンチクを書いておきます.
ヨー慣性モーメントだけを実車の値と比較してみてもピンとこないし,
車両の運動性能という面では質量やホイールベースとの関係で見ないといけません.
そこで,次式によって無次元化というか正規化してみます.
正規化ヨー慣性モーメント In=Iz/( m ×Lf × Lr )
ここで Iz:ヨー慣性モーメント,m:質量,
Lf:前軸~重心間距離,Lr:重心~後軸間距離 です.
要するに前軸位置と後軸位置の2ヶ所に質点 mf (=m×Lr/L ),mr (=m×Lf/L )
がある場合に1となるのが正規化ヨー慣性モーメントであり,
1より大きければオーバーハング部分に重いものをぶら下げているとか,
1より小さければホイールベース内に重量物が詰まっているなどと
考えることができるというわけです.
そこで,ヨー慣性モーメント 【 正規化ヨー慣性モーメント 】 という形で結果を書いていきます.
ヨー慣性モーメントの単位はgm^2です.
○HPI Pro4 (ランチャラリー037)
シャシーのみ: 14.3 【 0.64 】
カウル付き : 16.5 【 0.68 】
カウルだけ : 2.2
○CE-4 (タミヤ製クサラWRC)
シャシーのみ: 16.0 【 0.71 】
カウル付き : 19.4 【 0.78 】
カウルだけ : 3.4
○YR4 (ペースカー・トラック)
シャシーのみ: 14.5 【 0.64 】
カウル付き : 17.4 【 0.69 】
カウルだけ : 2.9
カウルとカメラ付き: 18.4 【 0.69 】
カメラだけ : 1.0
○YR-F2 (プロトフォーム・クサラ)
シャシーのみ: 13.2 【 0.78 】
カウル付き : 16.7 【 0.89 】
カウルだけ : 3.5
○FF02S (サクソ・キットカー)
シャシーのみ: 10.7 【 0.62 】
カウル付き : 12.7 【 0.69 】
カウルだけ : 2.0
○M02 (ff-1 実はレビン)
シャシーのみ: 7.8 【 0.61 】
カウル付き : 9.8 【 0.71 】
カウルだけ : 2.0
○F201 (プジョー905)
シャシーのみ: 14.6 【 0.57 】
カウル付き : 17.5 【 0.63 】
カウルだけ : 2.9
やはり,実車よりも正規化ヨー慣性モーメントは小さい値になるようですね.
ラジコンは乗員のスペースなんかが無くてバッテリが中央近くに置いてあるのだから
当然と言えば当然ですね.
それでも,モーターをフロント・オーバーハングに積んでいる
YR-F2の正規化ヨー慣性モーメントは大きめだし,
トレッドも狭いM02のは小さめになっていて納得できる数値かなと思います.
レースで使っているPro4も戦闘力って意味ではまずまずの値じゃないかと思えますが,
他の一線級のマシンの値が分からないのでなんとも言えないですね.
まぁ,こんな値が分かったからと言って何も得なことはないんですが・・・
さて,次の身体検査.ネタ切れだなぁ.リクエストある?-->ALL
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