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ドミンゴ操安乗開発と兼務して色々やってた

前回、この記事で2代目スバル・ドミンゴ(開発コード:69D)の
操安乗り心地開発に携わっていたことを書きました。
1992年から1994年くらいまでのことなので
もうかれこれ25年ほど昔の話ですね。

その頃は69Dだけでなく他にもいろいろなことをやっていました。
69Dはいちおうフルモデルチェンジではありますが
5代目サンバー・ディアスをベースにしているので
それほどの仕事量があるわけではないこともあり
他のことも兼務していたりしました。

このころのスバル(富士重工)ではやはりレガシィやアルシオーネだけが
いわゆる花形車種みたいに扱われていたような雰囲気があって、
それらの車種開発には予算(開発費)も工数(開発人員)も多く
反対にそれ以外の車種はかなりぞんざいに扱われる風潮がありました。

ですから、出世するというか昇進試験で受かるためには
レガシィやアルシオーネの開発に携わらないと難しいと言われたり、
それ故に昇進試験を受けさせるためにわざわざ
レガシィ系の開発の担当に人事異動させるなんてこともあったとか。
当然そんなこと公表することでもないのであくまでも噂ですけどね。
でも確かに当時の富士重工の開発部門にはそんな空気感がありましたね。

それと、他の会社ではどうなのかよく知りませんが
あるひとつの車種(製品)の開発に携わっていたとしても
ほとんどの場合はそれだけしか仕事をしないというわけでもなく
先行開発(数年先くらいの技術の開発)や基礎研究や
試験法や試験結果の解析法に関する研究などの仕事を
併行して掛け持ちしていることが多かったので、
ボクだけが特別いろいろなことを兼務していたわけでもありません。

 

その当時に兼務していた思いつく仕事を列挙してみます。

1,台湾トラックの開発支援
2.サンバーのVA(コストダウン)と市場不具合対応
3.ステアリングホイールの慣性モーメント計測
4.横風安定性のシミュレーションプログラム制作
5.横滑り角算出プログラム制作
6.周波数応答試験結果からタイヤのコーナリングパワーを推定するプログラム

その他、何故かアルシオーネXT6(2.7VX)の電動油圧パワステの
市場不具合対応(PL対応)なんかもやらされたりしてましたね(汗)
どうして担当(係)を飛び越えてやらされたのか覚えてませんが
下手するとアメリカの法廷に出廷しなければならない仕事なので
貧乏くじを引かされた気分でしたね。

 

もう少し、説明を加えておきましょうかね。

1.台湾トラックの技術支援
台湾トラックとは当時提携していた台湾の大慶汽車工業で
サンバーベースというか2代目ドミンゴをベースにして
ノックダウン生産+現地台湾設計・改造を施したトラックの意味です。

当時の台湾では高級車以外はまだ商用車が主体のためトラック需要が多かったことと
台湾独自設計を取り入れることで関税が下がるためにそのようなことになってました。
ですから、あくまでも技術支援をするということなのですが、
台湾市場では軽自動車枠はないので木製で荷台を広げて
定積も350kg→800kgに増やすという無茶な車でした。

軽のサンバーでも農家などでは無茶な過積載はあたりまえなので
1000kg積みでの試験などもしてましたが、
台湾トラックは荷台を後ろに伸ばしているので
積載時に後輪荷重が異常に大きくなり
またヨー慣性モーメントも非常に大きくなるので
操縦安定性を確保するのが超難問でしたね。

 

2.サンバーのVA(コストダウン)と市場不具合対応
当時のスバルは業績不振にあえいでいて
その原因のひとつが高コスト体質といわれていました。
レガシィが特に高コストな車種の代表格でしたがサンバーも例外ではありませんでした。
当時は軽ワンボックスを自家用・乗用車として使う人が増えた頃で
5代目サンバーも(軽ワンボックスとしては)乗用・高級を指向したため
高コスト体質となっていたのかも知れません。

ただ、広告宣伝費や研究費など車種毎に分割できない費用を
一律に販売台数割りにして計算するので
どうしても販売価格の安い車は儲からない車種と言われちゃいますけど、
実際にはほとんど宣伝せずともきちんど台数売れるサンバーなんかは
とっても会社に貢献していた車種だと思っていましたけどね。

当時のスバルの実験部では正直なところ性能を良くして誉められたいという意識が強く
コスト意識は希薄だったという気がします。というかボクは当時そう感じていました。
ということもあり、このサンバーのVAはかなりガンガンやりましたね。
操安乗り心地に関連するタイヤ、サス、ステアリングなどでトータルすると
原価で1台当たり1万円くらい下げることができたと記憶しています。
これだけでも1万台/月で年間12億円の会社の利益になったわけです。

もちろん、これらのVAは設計部門や購買部門も含めて達成したものなので
ボクひとりでこの利益を生み出したわけでもないのですけどね。
それでも、直接関与してたのは数人~十数人ですから
直接なんらかの恩恵をもらってもバチは当たらないと思いましたが
なん~にもなかったですね。安月給のままでした(笑)
 

3.ステアリングホイールの慣性モーメント計測
(5代目)サンバーや(2代目)ドミンゴでは一部グレードで
電動パワステを採用してましたがまだ電動パワステのではじめの頃で
まだまだ自然なフィーリングとはほど遠いものだったのですが、
それを少しでも改善すべくいろいろと研究している中で
ステアリングホイールも含めたステアリング系の慣性モーメントに着目したわけです。

ただ、当時はあまり真剣にステアリングホイールの慣性モーメントを考慮してなく
他社のものも含めて水準も分かってなかったこともあり
自分でステアリングホイールの慣性モーメントを計測してみようということになったのです。

2本吊り法というので計測することは分かったのですがどうも計算式が怪しくて
結局は自分で物理方程式を解いて正解を導き出してやってました。
それがずいぶん前にラジコンの慣性モーメントを計測した時の式です(笑) 
なお、その時の記事って今でもそこそこの訪問者がいるんですよね。

 

さて、気が付くと結構な長文記事になりつつあります。
といいますか、書いているのに疲れてきてしまいましたorz
というわけで、今回はこの辺までとさせていただき
残りはまた機会をみて書いていきたいと思います。
乞うご期待、って期待している人がどれだけいるかは疑問ですが(汗)

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コメント

報奨金に限らず、日本の会社の多くは実績評価が低いと思うことが多いですよね。
国内だけでなく国際特許を取った案件でも、諭吉さん一枚でしたし。
しかし1万円/台のVAって凄いですね。売価500万円くらい?

投稿: はら坊 | 2019-01-12 17:37

>はら坊さん

まぁ直接の見返りが欲しくてやってたわけでもないのでいいんですが
金ばっかり使ってる輩がチヤホヤされて偉くなっていって
会社は赤字続きってのが癪にさわってましたね。
それに技術者たるものコスト意識を持つのは当然だと思ってましたし。

投稿: JET | 2019-01-12 19:41

期待していますので、続きもお願いします。

投稿: よっさん | 2019-01-13 01:21

>よっさん

ありがとうございます。でも、期待されるとプレッシャーが。。。

投稿: JET | 2019-01-13 05:40

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