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STIは“水を差す”人が必要な時期かも?

以前の記事で、STI(スバルテクニカインターナショナル)は
お客さんにとっても社員にとっても同じ「空気」がある「ムラ」を形成していて
そこに「水」を差すような人は要らないと思った、というようなことを書きました。

ここでの「空気」や「水」というのは
この「『空気』の研究」という本からきているわけです。

STI の名前がいわゆるマニアの人たちに知れ渡るようになったのは
やはりプロドライブによるスバル・インプレッサのWRCでの活躍と
それに伴うインプレッサWRXの一連のSTIバージョン発売でしょう。

しかし、スバルのWRC撤退から既に10年が経とうとしています。
それ以来、トップカテゴリーで世界選手権を争うようなモータースポーツ活動は
スバルはもうやっていません。
WRC快進撃も既に過去の威光となり
スバル=WRC,ラリー、速い……というイメージも薄れてきてしまっているでしょう。

いちおう、今でもNBR24時間レースにはSTIとして毎年参戦してますし
国内スーパーGTにもワークス体制で参戦してますし
その他、国内外ラリーやら様々なスバル車での
モータースポーツ活動の支援は続けられていますが、
トップカテゴリーでも世界選手権でもなく鮮烈な印象を残すような
活躍は示せていないのが実状だと思います。

かといって、ボクはスバルがWRC参戦すべきなんて安易に言うつもりはありません。
そもそも今のスバルには自前のBセグメント車がないですし開発も出来ませんから
参戦しようにも不可能ですしね。

先ほど、マニアの人たちに知れ渡るようになったSTI と書きましたが
そろそろその神通力も陰りが見え始めてしまったといいますか
だんだんとそういうマニアの人たちも減ってきたのが現状でしょう。
それにスバルに限ったことではなくどのメーカーでもまた世界的に見ても
スポーツカーやハイパフォーマンスカーの需要は限られてますし
スポーツ性や性能を上げるためにクルマを改造するなんて人も減少しています。

このままではSTI はイメージでも収益でもジリ貧になってしまいます。
まずはパイを広げることが必要なんですが
それにはスバル車の最大の市場であり今も販売を伸ばしている
アメリカ市場でSTI の改造車販売や改造パーツの販売を強化する必要があります。

実はSTI って、今まではほとんどが日本国内での事業展開となっていて
オーストラリアやロシアで少しやっていたという程度だったんですよね。
今はアメリカに対してもいろいろ展開しようと動きはじめている段階ですが
なかなか従来の日本的なやり方では通用しないところも多く、
そういう意味では旧来の体制を否定して“水を差す”人が必要かもしれません。

 

さらに、本家のスバルは最近いろいろ不祥事はあったものの
それでもまだ世界的な販売・業績は好調を維持しています。
特に大半を占めるアメリカ市場では好調を持続しています。
(トランプ大統領の関税発令によっては一夜にして大ピンチになるでしょうが)
アメリカでは「LOVE SUBARU」をキャッチコピーにして
“走り”やモータースポーツイメージよりも合理的・実用的でありながらも
安全性・信頼性などに秀でたブランドとして認知されるようになっています。

日本でもひと昔前のボロボロ・ブシューで燃費最悪・乗り心地最悪の
スバルのイメージも払拭されつつあり
(依然として燃費はさほど良くないですがかといってどうしようもなく悪くもないです)
衝突安全性やアイサイトをはじめとする先進安全性
さらには視界の良さなどの0次安全性や運転のしやすさなどを含めて
走り屋さんご用達のマニアックなクルマというよりも
安全で実直で実用的なクルマというイメージが定着してきたかと思います。

それはとても良いことだと思うし、狙いでもあり、スバルの等身大の魅力なのですが、
こうなるとどうしてもSTIとスバルとのイメージに乖離が出てきてしまいます。
レガシィにもフォレスターにもターボモデルなどのスポーツグレードもなくなり
STI 的なイメージが似合うのはWRXとBRZだけという感じになってます。
(そのBRZもトヨタ86との関係がありますから簡単にはいきませんし)

アメリカでは下手をすると販売店からもうSTI は要らないんじゃないか
という声すら聞こえてこようかという話も出てきてしまっています。
STI のNBR24レース参戦にしてもスバル本体からスポンサーは出なくなってます。
これは、NBR24レースでクラス優勝しても販売やスバルのイメージUPに
アメリカはおろか国内でさえ大きな効果はないと見られているからでしょう。

ここでも、STI は従来のモータースポーツ好きや(本物の?)パフォーマンス重視の
顧客だけをターゲットにしていていいのか?という問題に突き当たります。
世の中のクルマ弄りはもっと気軽でなんちゃって感覚のものが多くなっていて
何万円も何十万円もローンして改造するなんてのは少なくなってますからね。

ですから、STI でも最近はLED流れるウィンカー付ドアミラーとか
ドアハンドルプロテクターなどクルマの性能向上とは関係ないパーツなども
展開しはじめています。
それでもまだまだ性能向上に拘りすぎているようにも見えます。
ここでもやはり“水を差す”人が必要なのかなとも思えます。

 

他にも、アメリカではSTI というブランドはほとんど認知されてなくて
ただスバルWRXという車種の中にWRX STI という
ハイパワーグレードのグレード名があるだけという程度のものしかないとか、
STI の改造車(コンプリートカー)の改造を請け負っているのは桐生工業なんですが
そこの操業を維持するために定期的に頻繁に改造車を造らないといけないとか、
スバルのエンジンのパワーアップの余地がもうほとんどないとか、、、
まぁいろいろ問題山積なんですよね。

だからこそ、過去のプロドライブとの栄光にすがったようなやり方は捨てて
それこそ誰かが“水を差して”しまわないと大変革は難しいでしょうね。 

 

スバルの中ではボクは“水を差す”役回りをやってきたと思ってますが
STI 出向中はもう“水を差す”のにも疲れちゃってほとんどしませんでした。
単に疲れちゃったというよりも、スバルは好きだったのでなんとか
正しい方向に修正してほしいという思いは強くあったんだけど
STI は好きじゃないから身を削ってまでやる気にはならなかったということでしょうね。

でもでも、どんな量産自動車メーカーにとっても
モータースポーツ部門やその活動というのは必要不可欠ですし
だからSTI は絶対に必要だとボクは考えていますよ。
STI で働くのは好きじゃないけどSTI が要らないとは考えてませんからね。
これから数年、STI がどう進化していくかをひっそりと見ていきたいですね。

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コメント

スバル愛だけじゃなくてSIT愛もお持ちという解釈なのですが、合ってます?
STIについては、個人的にはWRCにレガシー参戦やインプレッサを投入した1990~1994年前後のイメージが強いのですが、
あれもSTIというよりはプロドライブの仕事だという理解ですし、STIってどこまで関わっていたのか正直解っていません。
レオーネでサファリラリーとかの頃って、STIじゃ無かった覚えが・・・・・

投稿: はら坊 | 2018-09-22 05:41

>はら坊さん

STI愛の部分以外はその理解で合っているでしょうね。

STIは創立時にも居たし辞める直前にも居たのでなんらかの想いはありますが
それは愛と呼べるようなものじゃないと自分では思ってます。
ただ、スバルにとってはSTIは必要不可欠なので、STIをどうするかは
実はスバルそのものが決めて動かないといけないということですね。

投稿: JET | 2018-09-22 06:51

STiというブランドがあれば、時代とともにその役割が変わっていくのは当然ですね。1990年代のWRCワークス参戦当時のスバルに対するワクワク感は格別でした(遠いまなざし)。JETさんのおっしゃっている水を差すというのは、現状を見直して身の丈に合ったSTI商品を世の中に送り出してほしい、という期待を込めた意見という理解でいいでしょうか。STIブランドの使い方も現在はSUBARU本体のコントロール下にあるように見えますから、STIの独自性も薄れてきているのでしょうね。

投稿: よっさん | 2018-09-22 12:37

>よっさん

はい、そのような理解でいいと思います。

ただ、STIブランドの使い方はまだまだスバル本体のコントロール下にあるとは言い難いですかねぇ。というか、
スバル本体もどうしたらいいか決めかねている、アイデアがない状態でしょうか。
ベンツのAMG,BMWのMみたいにもっと本体に取り込みながら
ブランドだけ利用する方が良い結果になるかと思うのですが、
それには本体そのものの実力がもっとないと難しいでしょうねぇ。

投稿: JET | 2018-09-22 12:48

90年代当時、スバルのSTiはBMWのMを目指す、という話も聞いたことがあります。本当にそうなると期待していたのですが……。

投稿: よっさん | 2018-09-22 13:39

>よっさん

スバルがプレミアム路線で日本のBMWになりたいなんてほざいてた時代なら
STIはMを目指すで良かったのかも知れませんが、
今のスバルはBMWになりたいとは言ってませんからね。
中には未だに日本のBMWになりたいと思ってる残党もいるかもしれませんが(笑)

投稿: JET | 2018-09-22 14:04

なかなか面白い話ですね。私はアルシオーネからスバルと関係を持ち、ついには○○県でスバルディーラー店長にまでなった輩です。富士重工業本体やSTiには大変お世話になりました。
内情は大変でしょうが、販売も大変でした。他社から乗り換えのお客様は特に(笑)。
何せ基本性能を売りにしていた時期は、伝道師の如く説明とか案内ではなく、正に「説き伏せる」商談でしたね。
スバルはプレオRSで時間が止まっています。
今のスバルは、今まで支えてきたユーザーを救って欲しいのは難しいでしょうね。

投稿: プレオを乗り継ぐ者 | 2018-10-14 01:58

>プレオを乗り継ぐ者さん

どうもはじめまして。
ディーラー店長さんですか、大変ですね。
スバルは面倒くさいというか理屈っぽいというか
分かりづらいところがありますから
売る側も苦労が多いでしょうね。

投稿: JET | 2018-10-14 06:52

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