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「零戦神話の虚像と真実」を読了

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宝島社の「零戦神話の虚像と真実 零戦は本当に無敵だったのか
清水 政彦・渡邉 吉之 著 を読み終えました。

清水氏は本業は弁護士なのに“零戦研究の革命児”なんてなってます。
渡邉氏は元航空自衛隊の“エースパイロット”となってますが
正確には“エーステストパイロット”というべきかなとも思えます。

基本的にこの本はこの二人の対談形式になっています。
零戦のメカニズムや戦時中のデータなどは清水氏の研究がベースになり
それを渡邉氏の実践(訓練やテスト飛行)経験と先輩パイロットの証言などで
補完や検証をしていくようなスタイルで書かれています。

本書の第1章では以下の7つの零戦の神話と
それに対する誤解(虚像)ということで説明されています。

①革新的設計による名機だった
  →実は何も新しいことがない。世界レベルの1.5流ぐらいの技術の寄せ集め。
②軽量化のために防弾を犠牲にした
  →要求性能になかったし当時の戦闘機には防弾がないのが普通。
③零戦は緒戦では無敵だった
  →記録上はF4F、P-40、P-39など初期の機体とイーブンでその後は劣勢。
④ベテランパイロットを失い勝てなくなった
  →米軍パイロットの方が新米ばかりだが、新米でも操縦できる機体と戦法をとった。
   (裏返せば、零戦はパイロットの技量に頼る機体であり空軍の戦法だった)
⑤米軍は格闘戦を避けて一撃離脱戦法に終始した
  →一撃離脱戦法に徹した事実も記録もなかった。
⑥機体が脆弱で、急降下すると空中分解した
  →テスト中の事故の話で実戦では空中分解していない。
    そもそも空中分解する速度まで到達するのは難しかった。
⑦軽量なため運動性能は抜群だった
  →低速の旋回性はよいが高速では操縦桿が重くて操縦できず弱点だった。

 

その他にもいろいろと意外な視点から面白いことが書かれていました。

例えば、零戦は照準器が低い位置についていて
それに合わせて座席の高さを下げると前下方視界が悪化して
戦闘時にはネックになったとか、
(※確かにこの模型飛行機でもそのことがなんとなく理解できました)
零戦は穴で合わせる3点式シートベルトなのできっちり締めると後方確認できず
さらに後方ミラーも無かったのに対して、
P51などはワンタッチで緩められるシートベルトで後方ミラーもついていたなど、
人間工学的な部分で大きな差があったようです。

 

ただ、前に読んだこの「操縦のはなし」にも書いてあったように
ドッグファイト(巴戦)してもほとんど撃ち落とすことはできないようで、
この本でも高いGがかかっているときは99%当たらない
見越し角が大きい場合も99%当たらない
気付いている敵は99%落とせないと書いてあります。

それでも、何機撃墜など撃墜戦果は多かったが
実はそれは誤認が非常に多かったというのも判明しているそうです。
アメリカではガンカメラでチェックしたいたのに対して
海軍は基本はパイロットの自己申告だけだったそうです。
軍自体が戦果を大きく見せるために水増ししていたこともあるようですし。

それよりなにより、個人的には目から鱗だったのは、
そもそも戦闘機の目的とは敵の戦闘機と空戦してそれを落とすことではなく
敵の爆撃機に仕事をさせないことと味方の爆撃機を守ることだということです。
爆撃機に仕事をさせないとは、撃墜できなくても爆弾を捨てさせればよいということです。

考えてみたら当たり前のことですね。
敵戦闘機とほとんど決着することのないドッグファイトに明け暮れているうちに
爆撃機から爆弾落とされてしまっては元も子もないですから。
そして、どうやらその爆撃機の撃墜に関しても零戦は(日本海軍は)
それほど大きな戦果はなかったようなんですよね。
この辺りは零戦の性能がうんぬんというよりも
運用とか戦略とかの問題でもあるんでしょうけどね。 

終戦間際になるとその戦闘機である零戦も
特攻機として使われるようになってしまうわけですから、
そうなるともう戦闘機も爆撃機もなくなってしまってますし。

 

まぁ何にしてもなかなか深い考察と斬新な切り口で書かれている本で
とても面白く読み進めることができました。

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