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新型(5代目)フォレスター発表

スバルの新型フォレスターがニューヨークモーターショーにて
ワールドプレミアされました。
これが5代目のフォレスターとなりますね。

ということは4代目のSJ系フォレスターはもう引退ということで
日本でも4月16日でオーダー終了となるとのことです。

その4代目フォレスターはボクが車両研究実験総括部という部署で
性能全般について構想段階から開発・発表・市場導入まで一貫して携わった車種で
かつBMC(ビッグ・マイナー・チェンジ=大幅年次改良)も含めて
最後の年次改良の仕込みまで携わっていた車種ですから
それ故にやはり感慨深いものがあります。

といいますか、一貫して携わった車種はエクシーガとこの4代目フォレスターだけですから
エクシーガの生産終了に続いてフォレスターの世代交代は
なんとなしにもの哀しい気持ちになってしまうものですね。

4代目フォレスターは2012年11月13日のこの時に発表&発売開始でしたから
約5年毎のフルモデルチェンジサイクルを基本としているスバルとしては
やや長めのモデルライフということになります。

4代目フォレスターの発表は当初、
北京モーターショーでワールドプレミアする予定だったのですが
例の尖閣諸島国有化→反日暴動の一件で見送りとなってしまい
結局は日本での発表がワールドプレミアになってしまったのでした。

それだけチャイナ市場での成功を意識していた4代目フォレスターだったのですが
スタートからケチが付いたという形になってしまったわけで、
結局のところアメリカや日本国内では販売好調でしたけど
チャイナ市場ではそれほど芳しい結果は得られませんでした。

もちろん、反日感情だけが理由ではなく現地生産が出来なくて割高であるとか
販売網の再構築が上手くいかなかったとか様々な理由があるのでしょうが、
北京出張してチャイニーズのクリニックを受けたり市場調査したりして
チャイナ仕様専用の目標設定したり品質基準を設けたりして
相当に力を入れたのにも関わらずあまり結果に結びつかなかったのは残念でしたね。

他にもロシア市場もかなり意識していたんですが
こちらも大成功とは言えませんでしたね。
発売後ですがロシア出張までしたんですけどね。
まっロシア市場そのものが冷え込んでしまってますし。

ただ、そうは言っても4代目フォレスターはアメリカ、カナダ、日本、その他で
全体としては販売好調を維持し続けて(直近は知りませんが)
その他のスバル車の好調と合せて生産が追い付かない状態でしたから
まぁ成功したといっても良いでしょうね。

今度の新型フォレスターはニューヨークでのワールドプレミアということで
もちろんタイミングもあるでしょうけど、
やはりアメリカ市場重視ということなんでしょう。

 

今度の新型フォレスターにはターボエンジンのグレードがないとのことです。
将来的にはターボモデルも出てくるのかも知れないですが
もうバカっ速系のターボの時代ではないので
追加されるとしてもいわゆるダウンサイジング系のターボモデルでしょうかねぇ。

日本国内では初代フォレスターがターボモデルのみでスタートしていることもあり
フォレスター=ターボモデルという印象も依然として残っているかもしれませんが、
あれは当時コンパクトSUV市場で先行されたRAV4,CR-Vに対して
特徴を際立たせて、言い方を換えるとニッチ狙いで
販売戦略としてターボモデルだけにしたというだけですからね。

まぁあの当時のスバルの国内営業はそういう戦略しか思いつかなかったのですし
スバルはそういう水平対向ターボエンジンのボロボロ~しかイメージなかったのでしょう。

それでも、アメリカなど海外市場ではコンパクトSUVでも
V6エンジンなどを積んだモデルも当時は結構あって
そういうモデルへの対抗といいますか、
より余裕の出力を望む人たちへのモデルとして存在感があったわけです。
フォレスターに6気筒は積めませんからその代替としてのターボモデルです。

実は4代目フォレスターにターボモデルを設定するにはかなり苦労したんですよ。

まだ先行開発段階で構想を練っていた時のことですが
エンジン開発している人に言わせるともうEJエンジンでは環境対応できないとのこと。
(なのに未だにWRXはEJエンジン積んでいるのは謎だし笑っちゃいますが)
だったら当時のレガシィに追加したFA20型の直噴ターボを積めばよいでしょうが、
これまたエンジン開発している人に言わせると
あれはレガシィの車体にしか積めませんとのことだったんですね。

以前に書いたように当時のスバルには共通プラットフォームという概念がなく
レガシィはレガシィ用にインプレッサはインプレッサ用にという
似て非なるプラットフォームというか骨格を持っていたんですね。
そうは言ってもフォレスターはインプレッサの亜種という形で誕生した経緯もあり
フォレスターはインプレッサのプラットフォームだけでなく極力部品を使いまわして
投資を抑えなければならない車種とされてましたから
(生産工場もインプレッサなどとの混流ですから当然ですが)
フォレスター専用のプラットフォームを作るわけにはいきません。

つまり、FA20直噴ターボエンジンはレガシィ専用のプラットフォームにしか
載らないようにしか開発してこなかったというわけです。
レガシィはクレードル構造というものを採用していて
エンジンマウント方法など下回りの構成が
インプレッサ&フォレスターとは全然違うので、
ターボの位置や排気系の取り回しが合わずに載せられないというわけです。
まぁなんとも間抜けな話ですね。呆れてしまいました。

レガシィ専用プラットフォームを作る方も作る方ですが、
それ専用にしか積めないエンジンを作る方も作る方です。
そういう全体の戦略が組めないところが当時のスバルのダメなところだったわけです。
もちろん、今はそれを反省して共通プラットフォームを作ったわけですから
これからはそういう失態を冒すことはないでしょうけどね。

それで、ターボモデルはもう諦めようかというムードも起きる中で
収益性とか考えればターボモデルは絶対必要と主張したのがボクでした。
しかも、ターボの設置場所のために最低地上高が低くなるのも
アプローチアングルが小さくなるもの絶対ダメだし
悪路走行でターボを損傷する可能性のあるのも絶対ダメという厳しい条件付きで。
むろん、ボクだけが独りで吠えたわけではありませんが
役員へのプレゼンの席でそのように嗾(けしか)けたのは事実です(笑)

結局はミリ単位のせめぎ合いでやっとのことで成立解を得て
なんとかFA20直噴ターボを4代目フォレスターに積むことが可能になったわけです。
当時の技術部の役員(現・STI社長)に4代目フォレスターの最大の貢献は
ターボモデルを実現したことだと言われて素直に嬉しかったことはいい思い出です。

 

それから、新型フォレスターではX-MODEという
走破性を上げる機能が強化されているようです。

このX-MODEはボクが言いだしっぺで先行開発をやりだしたんですが
当初は周りからまったく相手にされずに
どこの設計部署も自分の仕事じゃないとうそぶいていて
性能評価部署もこれまたどこも自分のところじゃないという感じで
全員バックギア全開という状態に感じられたものでした。

そういう状態からひとつひとつ分担を決めてそれぞれの部署を説得して…
性能を作り込む以前の問題としてかなり苦労しました。
そもそも走破性を上げる機能といいながら
その走破性を評価している部署がどこにもないという
とてもAWDを売りにしているスバルとは考えられない状況でしたから。

ですから、その走破性の評価についても
正直言って任せた専門部署以上に手や口を出したというか
上から目線な言い方すれば手取り足取り指導してやったという気持ちです。

作り手の方だけじゃなくて売り手の方も「なんじゃそれ」という感じで
特にアメリカの販社(SOA)なんかはそんな変なものは要らないという姿勢でした。
何度も説明してやっとその機能を付けることになっても
X-MODEという名前は気に入らないからAWD-LOCKにしろと頑なに言うんですね。
仕方ないのでスイッチパネルやメーターインジケーターもアメリカ仕様だけ別に
AWD-LOCKというものを作っていたら、
最後の最後になって試作車(といってももう開発は終了時点)に乗って
これはAWD-LOCKという単純な機能ではないからX-MODEにしたい、
って、だから最初から何度もそう説明してきたのに。。。

市場導入に向けてもX-MODEの性能を視覚的に表現するのに
試行錯誤でローラー台などを作って動画で見せたりとか
そういうアイデア出しや検証実験なんかもボクが主導してやりました。

そうは言っても最後は関係者みんなが協力してくれたおかげで
X-MODEというものが完成して世に出せたわけですから
チーム全員の功績ということなんですけどね。

そして結局、4代目フォレスターの市場導入時にはややもすれば
このX-MODEが最大のウリというか目玉みたいになってしまって
逆にちょっとこれはマズイなぁと思ったものでした。

確かにX-MODEも付けて悪路走破性も先代よりもさらに高めていて
なんちゃってSUVとは違いますよということはアピールしているとは言え、
フォレスターのSUVらしさとは単に悪路走破性だけのことを指しているのではなく
SUVらしい視界やドラポジや乗降性や荷室の使い勝手などなどで、
そういう全体から細部に至るまですべてにSUVらしさを追求したということなのです。
その意味では最近流行りのクーペっぽいなんちゃってSUVとは全然別物なんです。

なのに、ある意味なんちゃってSUVでいいはずのスバルXVにも
今はX-MODEが付いちゃってます。
そして、今度の新型フォレスターのX-MODEは
スノー/ダートとディープスノーの2モードに進化したらしいのです。

素直な意見を言わせてもらえば、進化じゃなくて退化ですね。
X-MODEはAWDの制御、ブレーキの制御、エンジン制御、CVT制御など
様々な制御を統合してただひとつのスイッチだけで最適化させましょうという
コンセプトなんですから2モードにしちゃったら退化ですよ。
自動運転とか言っているんですから本来ならクルマ側が自動で判断して
X-MODEそのものも勝手に入るようにするのが進化の方向だと思いますから
それをドライバーに判断させるというのは退化ですよ。

まぁいろいろと事情はあるのでしょうけど
やはりどこかにX-MODEの話題性の成功体験があって
より「進化」させて話題にしたいという魂胆があるのではないでしょうか?
ターボもMTもないから話題性に飢えているのかも。
だったら、もう少し話題性のあるスタイリングにしても良かったのでは。。。

 

でもまぁボクはもう関係者じゃありませんからどうでもいいことですし
あれこれ意見する権利も手段もありませんから
まぁいちスバルファンとして外野から批評しつつも応援していきたいと思います(^^ゞ

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