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スバルの完成検査問題を推考してみた

やっちゃった日産に続いて発覚したスバルの工場での
正規検査員以外の人が検査したことになっていたという
完成検査問題について、今さらながらちょっと書いてみようと思います。

ボクは元・株式会社SUBARU(旧・富士重工)社員ではありますが
入社以来ずーと30数年開発現場(新型車を企画・設計・実験する部門)にいたから
製造現場(工場で量産する部門)のことは全くといっていいほど分からないので
その意味では今回発覚した問題については門外漢であります。

幾つかの新車開発のプロジェクトチームに属していたので
製造現場の方の知り合いはいないわけでもないですが、
完成検査に関することは新車開発で議論の場にのぼることはないですし
ましてや今現在彼らとの交流は皆無ですから情報収集もありません。

今回のことは完成車そのものの品質・安全性などに問題はなく
スバル車ユーザーに直接の不利益を与えているわけではないとされており、
実際そうなんでしょうし実質的には国交省に対しての
手続き上の問題だけだと軽く見る向きも無きにしも非ずです。

とは言え、やはりお客様(対象者ユーザーだけでなくスバルファンまで含め)や
ディーラーや関連企業、そして株主、さらには自動車業界全体にまで
多くの影響を及ぼして不信感・不快感を与えているのは事実ですし、
ひとつの汚点としてスバルの歴史に永遠に刻まれることは免れないことです。

故に、元・スバル社員としても、現スバルユーザーとしても、
そして何よりいちスバルファンとしても
そこはかとなくやるせない気持ちになってしまっています。

それにしても、本件について理解できないところが2つあります。
何故今まで是正されずに続けられていたのか?
そしてまた、企業や組織として何のメリットがあったのか?
という疑問に対して腑に落ちる答えが見つからないのです。

いずれについても元社員のボクでもさっぱり分かりませんので
推定で書かざるを得ないのですが、、、

 

30年以上前からなかば慣行として行われていたとのことですが
確かに30年以上も昔であれば旧・運輸省とのやりとりでも
ある程度なぁなぁで済まされた部分もあったのかも知れませんが、
企業コンプライアンスが叫ばれて久しい今になっても
そのまま放置され続けていたことに驚きと同時に疑問を感じるわけです。

事実、開発部門でも例えば仮ナンバー(赤枠など)を借りる時に
その車両が道路運送車両法に合致していることを確認したとの意味で
届出している人(どういう名称だかは失念しました)の印鑑が必要なのですが、
確かボクが入社した30年ほど前はその人が席にいなくても
引出しの一番上の引出しにそれ用の印鑑が常時置いてあって
勝手に断りなく印鑑だけ借りることができるようになっていて
それが慣行となっていました。

もう時効でしょうけど、もっとツワモノもいて
1台分の仮ナンバーしかないのに2台の車を回送する必要に迫られた場合
(例えば積車で運ぶつもりなのに白ナンバー車が故障してそれを積車に載せたとか)
前走車の前部と後続車の後部だけに同じ番号の仮ナンバーつけて
2台が車間距離詰め詰めでぴたりと走行するとか、
別の白ナンバーor黄ナンバー車のナンバーを借用してナンバー無し車に付けて
しれっと公道走っちゃうとか。。。そんな上司もいましたからね。
あっ、いちおう噂話ということにしておきましょうか。

でも十数年以上前に印鑑借用はコンプライアンスに抵触するんではということで
開発部門ではきちんと是正されて運用されるようになりました。
やはり他人の印鑑を借用して押印するというのは
欧米で言えば他人のサインを真似てなりすますのと同類ですから
慣行でやっていたから…というのは弁明になりませんからね。

この例だけに限らず開発部門ではコンプライアンスには厳しく言われ
ある意味杓子定規すぎてそこまで面倒にしなくてもと思った事も幾度もあるくらいです。
さらに、ここ数年はスバルも業績が急によくなって
ある意味でやっとまともな会社になったとも評されるくらいになりましたが、
だからこそ今まで以上にコンプライアンスと品質には万全を期してくれと
吉永社長自らことあるごとに幾度も発信していたのに…

とりわけ、スバルは“安全・安心”、“安心と愉しさ”、“Confidence in Motion”などを
キーワードとして発信して共感を得ている以上、
企業コンプライアンスと品質が生命線であることは
火を見るより明らかなはずなんですが…

開発部門と製造部門でそんなに温度差があったとも考えにくいのですが、
それならどうして他人の印鑑を借用して押印するという
現在社会の常識で考えれば明らかに異常な行為が
そのまま継続されてしまったのかなんとも不可解なんですよねぇ。

 

それから企業側・組織側のメリットは何だったのか? についてですが、

そもそも、(正規の)完成検査員の資格基準や教育訓練実績などについて
法律や国交省通達などで明文化されているわけではなく、
各社それぞれが社内規定で定めているだけのようなので
完成検査員が不足して生産・出荷に支障をきたしていたとは考えにくいです。

確証はないですが、スバルの企業風土として
(正規の)完成検査員の資格を得たからといって
資格手当などを支給していたとも考えられないので
人件費などのコスト抑制が目的とは思えません。
現にスバル側の弁明ではコスト抑制のためではなかったとされてます。

開発部門の場合ですが、業務上必要な例えば危険物取扱い免許とか
無線従事者免許とか牽引免許とか…様々な公的・社内資格を持っていても
その資格を所持していることによる資格手当はまったくゼロですし、
むしろそれらの資格更新などに要する費用は自費で勝手にやれという
ある意味ブラックに近い対応ですからね(苦笑)

親会社が欧州の日産だとその辺はスバルとは違っているのかもしれませんが…

また、国内販売が急増して一時的に完成検査員が足りなくなったというわけでもなく、
スバル側の説明でも30数年に渡り継続的に行われいたということですから
そういう理由でもなかったのでしょう。

ひとつ考えられるのは、完成検査員の資格が独立した資格となってなくて
人事制度の職能資格の中に組み入れられていたのかもしれないです。
仮称ですが一般○級からはじまって順に昇格して一般1級、
主任、主事…と昇格していくわけで、
例えば検査部門の人は主任になると完成検査員になれるとか
そういう資格基準が設けられていたのかもしれないです。

スバルの人事制度ではこの職能資格によって基本給が決まるのですが
目標管理制度にて当該資格より1資格高いレベルの目標の達成で
昇格となるような考え方が根底にある制度です。
考えてみれば、当該資格より1資格高いレベルの仕事をしているなら
その年度の給料から高くしなければおかしいとも思えますが、
こういう馬の鼻先にニンジンぶらさげるような思考が残っているわけです。

すると、仮に主任になると完成検査員として登録されるのだとして
ある人が来年度に主任に昇格しようとすると
1資格高いレベルの仕事をしていないといけないから
だから完成検査員と同じ仕事を代行していますみたいなことを
目標管理に掲げてその実績をあげるということになってしまいがちです。

また完成検査員がその職能資格の登竜門的な存在であったとすると
他人の印鑑を借りて押印することの非常識さを感じにくくさせていたのかもしれません。

むろん、そういう背景があったとしても不正は不正ですから言いわけにはなりません。
むしろ、もし本当にそのような背景があったのだとしたら
それはスバルの人事制度の欠陥がもたらしたともいえるわけですから
人事制度そのものの再考も必要でしょうね。
そこまでやって再発防止策としなければ根本的な対策とは言えないでしょう。
企業風土というのはそのくらいやらないとそう簡単には変わりませんからね。

 

なお、くどいようですが上記のことはボクの勝手な推測であり意見ですから
全然見当違いのところもあるかもしれません。
正しい情報や異なる意見などあればコメントまたはメールいただけると幸いです。

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