FRスポーツカー先送り?
正式発表ではないようですが,かと言って単なる憶測記事でもなさそうな こちらのニュース.昨日,土曜日の朝7:00に掲載されるってのが,なんともいやらしいですなぁ.
内容としては,「トヨタ-富士重工業(スバル)とで共同開発する小型FRスポーツカーの商品化を当初予定の2011年末から2012年以降へ先送りする.」ってことです.1,2年延期するとも取れるし,文面だけなら数ヶ月遅らせるだけでも間違ってはいないけれど,まぁこれがトヨタからの発表であるならば「中止」「白紙」というのが真意でしょうか.
ボクも真相は全く知らないので,月曜以降が楽しみ(?)というところでしょうか.
個人的にはスバルでスポーツカーを作って売ることも,FR車を作って売ることも,ともに非常に強い疑問を抱いていただけにその意味では良いことじゃないかと思ってます.
富士重工業(スバル)ってのはスポーツカー・メーカーじゃないですよ.ラビットスクーターやスバル360~レオーネ(4WD)~レガシィ・ツーリングワゴン~フォレスターなど,「純粋にドライビングを楽しむための車」ではなく,常に家族や個人が「趣味や仕事など生活を楽しむための移動のための車」を作り続けてきたのが富士重工業です.
ところが,ここ十数年くらいはSTiバージョンやらSpec.Bやらの“ターボ・ハイパワー+AWD+硬い足回り”で,4ドア・セダンなのに速い,ワゴンなのに速い,SUVっぽいのに速い,しかも案外安い,っていう部分を前面に出す戦略をとり,WRC参戦のイメージも重なって,自ら「走り」のスバルなんて謳うようになってしまっていました.まぁ,販売力が脆弱だから商品の差別化で売るしかないし,いまさら止められない水平対向エンジン縦置きレイアウトをその差別化の道具にするには「走り」を強調するのが説明しやすいという現実があるのは理解できますけど.
それでも,これらの車はあくまでもコストパフォーマンスに優れたハイパフォーマンス・カーであって,ラリー競技などで競争して速かろうが,「純粋にドライビングを楽しむための車」としてのスポーツカーではないです.スポーツカーの定義は人それぞれなので,それでも俺の乗ってるスバル車はスポーツカーだ!と言い張る人がいても否定はしませんが,少なくとも「速さ」とは切り離して「純粋にドライビングを楽しむための車」を開発したことはありません.つまり,結果的にユーザーがスポーツカーとして使っていたとしても,スポーツカーを開発したことはないので,そのスピリットも富士重工業には無いということです.
FRレイアウトについてもほぼ同じことが言えます.ここで駆動系レイアウトの良し悪しを議論するつもりはありませんが,わざわざ「FR」と強調することがあざといと思えてしまいます.
富士重工業は,スバル360でRRレイアウトを採用し,その後軽乗用車はFFレイアウトに移行していますが,サンバーはRRレイアウトを踏襲しています.それぞれ,4WDもあります.スバル1000では水平対向エンジン縦置きのFFレイアウトをいち早く採用し,それをルーツとしてAWDレイアウトをシンメトリカルAWDと称してスバル車の特徴としています.ただ,一般市販はしなかったけどスバル360よりも前にスバルP-1というFRセダンも作っています.だから,スバル車の駆動系レイアウトは○○に限るということはありません.形式に拘らずに最適なものを採用するというのが基本でしょう.百瀬さんがFR嫌いだったのも,形式そのものではなく「乗員のためのスペースを圧迫する」ことを嫌っていたのでしょう.
ところが,ここ十数年はスバル=AWDという戦略で,AWDは安全,AWDは速い,AWDは凄い(何が?)ということを謳ってきた.これは,比較的安く簡単にAWD化ができることと,差別化のための道具ということですね.ユーザーの使用目的やユーザーメリットとして差別化するのは良いことですが,単に差別化のための形式や記号性をユーザーに押し売りするのはいただけません.
このFRレイアウト採用にも同じような差別化のための形式や記号性を感じます.ハチロクの再来とかのイメージで売りたいのでしょうか? イニシャルDの世界でしょうか? そんなスピリットは富士重工業にはありません.
スポーツカーにしてもFRレイアウトにしても,技術ノウハウの有無は大した問題ではないと思っています.開発資金の有無が表面的な技術力の差になって表れることはあっても,内燃機関の車の技術なんてもうどこでもそれなりのレベルだからね.
問題になるのは企業のそしてそこにいる人のスピリットの有無でしょう.トヨタが作ったスポーツカーが成功しない,トヨタ自身がそう認めていると思いますが,それはトヨタにスポーツカー作りのスピリットが無いからでしょう.そういう企業風土だからでしょう.逆にだからこそ他のジャンルであれだけ商業的に成功しているんでしょう.じゃぁ,富士重工業にそれがあるかというと,上述のように無いと思います.
トヨタがスバルをトヨタグループの(安)スポーツカー部門を担うひとつのブランドにという思惑があり,スバルがそれを受け入れるべく転身するというのなら,その登竜門として小型FRスポーツカーを開発・販売するというストーリーはアリでしょう.
その時はスバルは完全に昔のスバルとは違うということです.もしかしたらそれが正解なのかも知れません.
ただ,それこそ本当にトヨタはスバルを馬鹿にしているということでしょう.非常に屈辱的なことです.それは,ボクにとっては受け入れ難いことです.
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一方,企業の存続という点ではどうでしょうかねぇ.
富士重工業にとってはトヨタとの協業で新工場建設の費用をもらって,さらにそれにかこつけて色々と自分たちに有利なようにお金使っちゃおうという魂胆があったのかも知れませんが…
さて,どうなってしまうんでしょうか? もう先がないのかも.
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コメント
興味深い話ですね。
この厳しいご時世に企業とはどうあるべきか。
こういうときこそポリシーを変えずに行くのか
こういうときこそ変革すべきなのか。
社外の人は勿論、社内でも色々な考えが存在するんでしょうね。
一つ言えることは、日本はイメージだけ先行させて簡単に物事を変えてしまう気風があるような気がします。とにかく新しもの好きだしね。ちゃんと理由があれば変えても良いけど、その辺はよーく考えて欲しいですよね。
投稿: noby | 2008.12.21 18:53
86なんて、FFカローラが販売的にコケたとき用にプラットフォームを残しておいただけであって、決してスポーツカースピリットではないと....
あと、軽を止めさせたのがとても引っ掛かるんですよね....
トヨタってホントにワガママですね。
投稿: 並さん | 2008.12.21 21:16
>nobyさん
>>ちゃんと理由があれば変えても良いけど、その辺はよーく考えて欲しいですよね。
そう,よーく考えないとね.
本気で変革しなくちゃいけないのなら,何故今まではダメなのかを明確にしてその部分とは完全に縁を切らないとね.
前社長は「プレミアムメーカーを目指す」と全く世間知らずのことを言って失敗.現社長は「お客様第一」と当たり前の言葉だが,やんわりとプレミアム路線を否定してスバルヲタクだけじゃなくてもっと普通のお客さんを相手にしようと言った.それで,新型のインプレッサもフォレスターもその方向性に進んだし,エクシーガを無理して作ったのもその流れ.
なのに,一方で軽自動車から撤退,水平対向エンジンに固執,FRスポーツカーを開発ってのは理解に苦しみます.
ポリシーが無いということかなぁ.
投稿: JET | 2008.12.21 21:56
>並さん
軽を止めたのは富士重工業であって,トヨタの圧力ではありませんよ.
ネットでも何かにつけてトヨタがトヨタが,トヨタを悪者扱いにいう人がいますが,軽撤退もWRC撤退も富士重工業が決めたこと.
Bセグの小型車が欲しいと言い出したのも富士重工業で,欲しけりゃbBどうぞと言ったのがトヨタ.
FRスポーツカーはトヨタ→富士重工業に開発委託の話が来ていたものだから,トヨタから先送りと言い出すのは当然のこと.
ダイハツはトヨタの子会社になったけど,トヨタは富士重工業の株を16%しかもっていないのだから,経営に対しても商品に対してもモータースポーツ活動に対しても何もいう権限はないです.そして,何も補償する必要もないのです.
スバル車がスバルヲタク向けの偏った車より,もうちょっと普通の人向けに作ろうというのも,トヨタに言われたわけでもなんでもない.トヨタ車と同じ部品使っているのもトヨタに強要されているわけでもない.
トヨタにしてみれば,逆にそう思われるのはいい迷惑だから,「スバルよもっと変態車ばっかり作ってニッチ路線まっしぐらしてくれよ」と思っているかもね.
それが,スバルにスポーツカー作らせようって発想につながっているんじゃないかな.トヨタ自身はリスク負わないしね.
ただ,昨年の職制任用試験の論文テーマ「魅力ある企業名を挙げて…」というのに対して,受験生の多くがトヨタを挙げたらしい.
これは明らかにトヨタ化が進んでいるのかも知れませんね.トヨタ社員ほど給料貰えるようになったら嬉しいのは事実ですけど(笑)
ちなみにボクはピアジオって書いたんだけどね(爆)
投稿: JET | 2008.12.21 22:17